研究実績の概要 |
【目的】近年、わが国において若年女性のやせ志向が増加し、BMIの低下傾向が指摘されている。不適切な食習慣を続けることで、妊娠適齢期における「やせ」の増加や妊娠中の不十分な体重増加につながり、低出生体重児の出生率上昇の一因と考えられている。本研究では、健康な生殖可能年齢女性を対象として抗ミュラー管ホルモン(AMH:卵巣予備機能を示す血液マーカーで、喫煙や加齢の影響を受ける)を測定し、BDHQによる食事調査との関連について検討した。 【方式】74名の非喫煙女性(20-43歳)を対象とし、簡易型自記式食事歴法質問表(BDHQ)から栄養摂取量、摂取食品群を算出した。データ解析は、AMHと摂取食品群の関連を調査し、A群(<30歳, n=30)とB群(≧30歳, n=44)に分けて比較検討した。 【結果】本集団のBMIは20.3±2.8(mean±SD, range:15.9-32.9)であり、やせ傾向にあった。BDHQから算出された摂取食品群からいも類(r=0.320, p<0.01)、魚介類(r=0.293, p<0.05)、卵類(r=0.251, p<0.05)においてAMHとの相関がみられた。A群では、BMI(r=0.376, p<0.05)との間に関連性を認めたが、特定の食品群における関連性は認めなかった。B群では年齢(r=0.368, p<0.05)、豆類(r=0.300, p<0.05)、その他の野菜(r=0.367, p<0.05)、魚介類(r=0.380, p<0.05)、卵類(r=0.400, p<0.01)において関連性が認められた。 【考察】年齢別にみると30歳未満では特定の食品群の摂取量よりもBMIの影響を受けており、AHM値の維持には体格が重要な因子と考えられた。一方30歳以上では年齢や特定の食品群の摂取量の影響を受けており、これらの食品群に比較的多く含まれるビタミンやミネラルなどの栄養摂取量との関連性が示唆された。
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