研究課題/領域番号 |
25870729
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
加茂 敦子 東海大学, 健康科学部, 講師 (50614088)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 難治性痒み / エキシマランプ / 表皮内神経線維 / ドライスキンモデルマウス |
研究概要 |
アトピー性皮膚炎などに認められる難治性痒みの原因の1つに、知覚神経線維の表皮内への侵入・増生が挙げられる。これまで申請者は、神経線維の表皮内における増生が認められる動物モデルに対して、臨床で用いられる各種治療法の効果を横断的に検討した結果、エキシマランプで最も強い効果を認めた。しかしながら、エキシマランプの表皮内神経線維の増生抑制メカニズムは明らかになっていない。そこで本研究では、エキシマランプ照射は表皮内神経線維に退縮を誘導するという作業仮説を立てた。 本年度は、培養ラット後根神経節(DRG)細胞を用いて、DRG細胞の神経線維に対するエキシマランプ照射の影響を検討した。エキシマランプは、308 nmに波長のピークをもつが、細胞障害性を有する短波長(<290 nm)を含んでいる。したがって、細胞障害性波長をカットするフィルターを用いて、短波長をカットし照射した際(フィルター装着群)に神経変性作用が認められるかを検討した。エキシマランプ照射(100, 250 mJ/cm2)後、軸索に神経変性を示す形態学的変性変化(ブレッブ)の増加が、経過時間依存的に認められた。また、照射線量依存的にブレッブ数が増加した。フィルター非装着群と比較して、フィルター装着群のブレッブ形成能は低下したものの、照射120時間後においてブレッブ数の有意な増加を認めた。さらに、神経線維の生存に必要なタンパク質であるNmnat2 (nicotinamide mononucleotide adenylyltransferase 2)の発現を検討した。その結果、フィルター装着250 mJ/cm2照射群において、照射24時間後に軸索におけるNmnat2発現の低下を認めた。以上の結果から、エキシマランプ308 nmに軸索変性作用があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書の通り、培養ラット後根神経節細胞を用いた実験が終了し、エキシマランプの神経線維に対する直接的な変性効果が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、エキシマランプの表皮内神経線維に対する変性作用を解明し、さらに、安全な臨床応用を視野に入れた、光発癌リスクに対する解析も行うことを目的としている。したがって当初の計画通り、今後は、動物モデルを用いて、表皮内神経線維の消退効果と光発癌性を解析し、DNAダメージを最小限に抑えた効果的なエキシマランプの照射線量を探索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度、本研究成果の論文作成に関する費用の利用がなかったため。 今後は、動物モデルを用いた実験を計画している。したがって、実験用動物と解析関連機器・試薬を購入する予定である。また、本成果を発表するための学会旅費、論文掲載に関連した英文校正費、論文掲載料として使用する予定である。
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