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2015 年度 実施状況報告書

近代エジプトにおけるファラオ主義とコプト・キリスト教徒の国民統合

研究課題

研究課題/領域番号 25870731
研究機関上智大学

研究代表者

三代川 寛子  上智大学, アジア文化研究所, 客員所員 (90614032)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードナショナリズム / エジプト / コプト・キリスト教徒
研究実績の概要

今年度は、これまでの研究の一つの節目として、11月のアメリカ宗教学会にて"Modern Sons of Pharaohs? Racism, Pharaonism, and the Copts in Early Twentieth-Century Egypt"と題する研究発表を行った。
C. Baylyの"Representing Copts and Muhammadans: Empire, Nation and Community in Egypt and India, 1880-1914"をはじめとする先行研究では、植民地期のイギリスの宣教師や学者の間で、コプトが優秀な古代エジプト人の血をより純粋な形で受け継いでおり、それゆえにコプトこそがエジプトの近代化をけん引する存在になるという考えがあったことが明らかにされてきた。しかし、そうした考えをコプト側がそのまま受け入れたのかという点については検討されてこなかった。そこで、この研究発表では、前年度まで行ってきたファラオ主義に基づくコプトの文化運動の分析を基に、当時のコプトの俗人信徒知識人の間では、むしろファラオ主義はコプトの宗教文化をエジプトの民族文化へと位置づけ直すために利用されてことを指摘した。
他には、5月の日本中東学会および11月の北米中東学会に参加し、最先端の研究成果に触れると共に、国内外の研究者らと意見交換を行った。
年度を通してナショナリズム、アイデンティティ、植民地期の中東の歴史など関連図書を購入したのに加えて、図書館で文献複写サービスを利用して資料を取り寄せるなどして、研究に役立てた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定では、ナイルーズ祭、コプト語復興、コプト博物館という3事例の分析を3年目までに終えることになっており、これまでのところ概ね予定通りに進行しているため。

今後の研究の推進方策

最終年度となる来年度は、計画書ではウンマ・コプティーヤ運動について取り組む予定となっているが、一次資料が少ないため、先行研究をまとめるに留める可能性が高い。
むしろ、これまで取り組んできた3事例を基に、研究成果をまとめていく方針である。

次年度使用額が生じた理由

今年度参加する予定で、あらかじめ予算を確保しておいた北米中東学会の参加旅費について、別予算から支出することになったため。

次年度使用額の使用計画

来年度ロサンゼルスで開催される予定の国際コプト学会の旅費として使用する。その際、学会前後の滞在を数日延長して、同学会を主宰する聖シェヌーダ・コプト学研究所の図書室で資料収集を行う予定。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 20世紀初頭におけるコプト・キリスト教徒のファラオ主義とコプト語復興運動―イクラウディユース・ラビーブの『アイン・シャムス』の分析を中心に―2016

    • 著者名/発表者名
      三代川 寛子
    • 雑誌名

      オリエント

      巻: 58(2) ページ: 184-195

    • 査読あり
  • [学会発表] The Establishment of the Coptic Museum and its Nationalization2016

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Miyokawa
    • 学会等名
      International Workshop organized by the University of Tokyo, Vulnerability and Resilience
    • 発表場所
      Beirut, Lebanon
    • 年月日
      2016-03-10
    • 国際学会
  • [学会発表] コプト博物館に見るコプト・キリスト教徒の宗教文化とナショナル・アイデンティティ2016

    • 著者名/発表者名
      三代川寛子
    • 学会等名
      第8回 コプト・イスラーム物質文化研究会
    • 発表場所
      国士舘大学(東京都世田谷区)
    • 年月日
      2016-02-20
  • [学会発表] Modern Sons of Pharaohs? Racism, Pharaonism, and the Copts in Early Twentieth-Century Egypt2015

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Miyokawa
    • 学会等名
      American Academy of Religion Annual Meeting 2015
    • 発表場所
      Atlanta, GA, USA
    • 年月日
      2015-11-21
    • 国際学会
  • [学会発表] Revival of the Coptic Language and Pharaonism2015

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Miyokawa
    • 学会等名
      5th International Conference of NIHU Program for Islamic Area Studies, New Horizons in Islamic Area Studies: Asian Perspectives and Global Dynamics
    • 発表場所
      上智大学(東京都千代田区)
    • 年月日
      2015-09-12
    • 国際学会
  • [図書] Minorities and the Modern Arab World: New Perspectives2016

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Miyokawa
    • 総ページ数
      250
    • 出版者
      Syracuse University Press
  • [図書] Copts in Contexts: Negotiating Identity, Tradition and Modernity2016

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Miyokawa
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      University of South Carolina Press

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公開日: 2017-01-06  

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