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2016 年度 実績報告書

近代エジプトにおけるファラオ主義とコプト・キリスト教徒の国民統合

研究課題

研究課題/領域番号 25870731
研究機関上智大学

研究代表者

三代川 寛子  上智大学, アジア文化研究所, 客員所員 (90614032)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードナショナリズム / 宗教的アイデンティティ / コプト・キリスト教徒 / 国民統合
研究実績の概要

エジプトの国民国家形成期(19世紀末から20世紀前半)における、コプト・キリスト教徒のナショナル・アイデンティティ形成過程を明らかにした。
当初、事例は4例(コプト語復興運動、ナイルーズ祭復興運動、コプト博物館の設立、ウンマ・コプティーヤ運動)を予定していたが、第4の事例は1950年代とやや時期が遅く、議論を国民国家形成期に限定するために、最初の3事例に絞って研究を進めた。
その結果、エジプトのコプト・キリスト教徒の国民統合に関しては、これまでリベラルなナショナリズム(宗教を問わずエジプトという祖国に忠誠を誓う者をエジプト人とする)が注目されてきたが、コプト共同体内部からは宗教的アイデンティティに基づいたエジプト民族意識が呼びかけられており、リベラルなナショナリズムとは異なるコプトの文化ナショナリズムが存在していたことが判明した。そしてそれらは上記のようなコプト語復興、ナイルーズ祭(コプト暦元日祭)復興、コプト博物館の設立などの動きとして現れた。
また、これらの運動がコプトの俗人信徒によって率いられたことも重要な点であり、これらの運動にはコプト共同体独自の宗教的な象徴が使用されているにもかかわらず、それが「エジプト民族」の象徴に変換されて脱宗教化されていることが明らかになった。また、そうした形でコプトのエジプト民族意識が構築されたのは、「世俗的な国民国家」という新たな国家体制の枠組みの中で、コプトが自らの宗教的アイデンティティを手放すことなくエジプト国民/民族としての意識を持つためであったことが明らかになった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] オックスフォード大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      オックスフォード大学
  • [雑誌論文] マイノリティ問題と研究2017

    • 著者名/発表者名
      三代川寛子
    • 雑誌名

      中東・イスラーム研究概説―政治学・経済学・社会学・地域研究のテーマと理論

      巻: ― ページ: 216-223

  • [雑誌論文] The Revival of the Coptic Language and the Formation of Coptic Ethno-Religious Identity in Modern Egypt2017

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Miyokawa
    • 雑誌名

      Copts in Contexts: Negotiating Identity, Tradition, and Modernity

      巻: ― ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 20世紀初頭におけるコプト・キリスト教徒のファラオ主義とコプト語復興運動 : イクラウディユース・ラビーブの『アイン・シャムス』の分析を中心に2016

    • 著者名/発表者名
      三代川寛子
    • 雑誌名

      オリエント

      巻: 58(2) ページ: 184-195

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Struggle over Egyptianness: A Case Study of the Egyptian Nayruz Festival2016

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Miyokawa
    • 雑誌名

      Minorities and the Modern Arab World: New Perspectives

      巻: ― ページ: 122-139

    • 査読あり
  • [学会発表] The Making of ‘Modern Sons of Pharaohs’ in Early Twentieth Century Egypt2017

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Miyokawa
    • 学会等名
      Workshop Ethno-religious ‘Minorities’ and Mobilization in the Middle East
    • 発表場所
      University of Oxford (Oxfordshire, UK)
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-09
  • [図書] 東方キリスト教諸教会―研究案内と基礎データ2017

    • 著者名/発表者名
      三代川寛子(編)
    • 総ページ数
      570
    • 出版者
      明石書店

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-16  

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