3年間の人類学に基づく現地調査は、エジプト人の国境を越えてグローバルに形成される出稼ぎ者の社会的ネットワークを、エジプト、クウェート、カナダを周りながら、基点を一つにせずに複数の現場から、エジプト人が従来故国で培ってきた家族・親族中心的な社会的ネットワークが越境によって、いかに変化するかを双方向から多元的に見る試みであった。 その結果、社会的ネットワークの方向性や質、強度は、通信手段の発達や移動の容易さによって、広範囲にわたる人々の間で発達したが、それらは基点となる人々の物理的布置に左右されることが明らかになった。
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