研究課題
若手研究(B)
われわれは、現在までに、上皮成長因子受容体(EGFR)が炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)から活性化(トランス活性化)を受けることにより、上皮細胞をアポトーシスから保護していることを報告した。EGFRは、その過剰発現や過剰な活性化が発癌との関連が報告され、多く癌種で治療標的とされている。一方で、EGFRは上皮性悪性腫瘍のみではなく正常肺組織でも発現しており、細胞・組織の恒常性維持という役割を担っている。肺がん治療薬として用いられるEGFR阻害剤の急性肺障害が大きな問題となっているが、EGFR阻害剤の正常肺組織に及ぼす影響や肺障害におけるTNF-EGFRシグナルの関与については、これまで明らかにされていない。本研究では、TNFにより誘導されるEGFR受容体のトランス活性化シグナルに焦点を当て、炎症性肺疾患の病態や急性増悪に及ぼす影響を明らかにすることを特色とする。本研究により、EGFR阻害剤の正常肺組織に及ぼす影響と肺障害を誘導する分子機構が明らかになると期待される。さらに、特発性間質性肺炎、肺線維症といった難治性慢性炎症性肺疾患の治療指針に重要な示唆を与える結果が得られるものと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
申請者らは、これまでSPC-TNFマウスモデルにEGFR阻害剤を投与することで肺組織に著しいアポトーシスと炎症細胞の浸潤、間質の肥厚が生じることを明らかにした。本研究計画では、肺障害発症の分子機序を明らかにし、発症危険因子の同定や発症した際の治療戦略を確立するために、以下の研究項目を予定している。① EGFR阻害剤をSPC-TNFマウスに投与することにより生じる肺障害の分子生物学的機序を解明する。② 新規肺障害マウスモデルを作製し、EGFR阻害剤に誘導される肺障害の治療を臨床的に応用するための戦略を確立する。上記、①については、問題なく進展している。しかし、②は、購入予定であったマウスが、受精卵からの成長に問題が生じ、入手できていない。このため、現在、他の研究機関よりの譲渡を目的に交渉中である。
上記に記載した様に、①については、問題なく進展している。しかし、②は、購入予定であったマウスが、受精卵からの成長に問題が生じ、入手できていない。このため、現在、他の研究機関よりの譲渡を目的に交渉中である。新規肺障害モデルマウスの作製において、当初は、SPC-TNFマウスとEGFRwa2マウスを交配させるが、肺障害の程度によっては、よりEGFR発現が抑制されたEGFRwa5マウスを使用する予定である。
本研究計画では、肺障害発症の分子機序を明らかにし、発症危険因子の同定や発症した際の治療戦略を確立するために、以下の研究項目を予定している。② 新規肺障害マウスモデルを作製し、EGFR阻害剤に誘導される肺障害の治療を臨床的に応用するための戦略を確立する。②は、購入予定であったマウスが、受精卵からの成長に問題が生じ、購入できていない。できていない。このため、現在、他の研究機関よりの譲渡を目的に交渉中である。本研究計画の、② 新規肺障害マウスモデルを作製し、EGFR阻害剤に誘導される肺障害の治療を臨床的に応用するための戦略を確立する。では、上記の理由により、購入予定であったマウスが納品されていない。現在、購入先のジャクソン研究所に、作成を依頼しており、近日中に納品されると期待される。しかし、納品が、困難であると判明した場合には、研究協力者である、米国 南カリフォルニア大学 Polk教授より供与を受ける予定である。
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