研究課題/領域番号 |
25870738
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
板橋 貴史 昭和大学, 薬学部, ポストドクター (70636943)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / 安静時機能的磁気共鳴画像法 / ネットワーク / グラフ理論 |
研究概要 |
本年度は、成人自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder、以下ASDと省略)の脳機能結合異常を調べるため、安静時機能的磁気共鳴画像法(resting-state functional MRI、以下rsfMRIと省略)の解析を行った。 成人ASD患者46名(女性:7名、男性:39名)と健常被験者(女性:7名、男性:39名)から撮像されたrsfMRIデータを、脳のネットワークを点(脳領域)と線(機能結合)で表現し、その性質をグラフ理論と呼ばれる数学的枠組みを用いて解析を行った。グラフ理論に基づく様々な指標を用いた解析によって、健常群では局所的な脳機能結合と全体的な結合が適度なバランスを保っているが、ASD群ではこのバランスが崩れていることが明らかになった。また、ネットワークには、情報集約・伝播で中心的役割を果たすハブとよばれる点が存在しているが、右上側頭回など社会性に関連のある脳領域が健常群ではハブになっているにも関わらず、ASD群ではハブでない事等が明らかになった。このことから、脳機能ネットワークのバランスの欠如や社会機能に関連のあるハブの損失が、ASD患者が持つ社会機能障害に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、安静時機能的磁気共鳴画像のデータ解析に加えて、心理実験中の脳活動をMRIによって測定する予定であったが、MRI装置を(1.5 Teslaから3.0 Teslaへ)刷新するための工事などのためfMRI実験を行わなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
MRI設置が完了次第、新しいMRI装置でpilot的な撮像実験を行い、撮像パラメータおよび実験パラダイムの最適化を図り、本実験に移行する。ASD患者のリクルートは、昭和大学医学部附属烏山病院の医師や心理士と連携し進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
MRI装置の刷新に伴い、心理実験を行わなかったため謝礼が発生しなかった点と本年度は国際会議に参加しなかった為。 国際基準となりつつある自閉症重症度の評価尺度(Autism Diagnostic Observation Schedule、以下ADOS)の検査に参加してくださったASD患者への謝礼およびfMRI実験参加者への謝礼を中心に使用する。
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