実験1.低糖質食摂取の短期・長期的影響 ~非肥満マウスを用いて~ 非肥満マウスにおける低糖質食(LC食)の短期及び長期的摂取の影響について、2013年度実験の再現性の確認および追加実験を行った。6週齡C57BL/6J雄マウスにLC食(40%糖質食)の2wおよび13w与え解剖を行った。対照群としてコントロール食(60%糖質食)を与えた。体重変化率は13wのみ、精巣上体周囲脂肪量は2w・13wともにLC食で有意に低値を示した。精巣上体周囲脂肪の組織学的観察において、脂肪細胞面積は2w・13wともにLC食で低値を示した。肝臓中SOD活性は、2wでのみLC食が有意に低値を示した。酸化生成物の指標とした血清中LABおよび肝臓中TBARSは,LC食の影響を認めなかった。 実験2.肥満時のLC食の影響~食事誘導性肥満モデルマウスを用いて~ C57BL6/j雄マウスを用い、食誘導性肥満モデルマウス(肥満マウス)および非肥満マウスに、LC食およびコントロール食を13週間与え解剖を行った。体重増加率において、肥満マウスのみ実験食開始5週目よりLC食で低値を示した。精巣上体周囲脂肪重量は肥満および非肥満マウスにおいてLC食による変化を認めなかった。血清生化学検査値においては、総ケトン量が肥満および非肥満マウスにおいて、LC食で低値を示した。血清中中性脂肪は、肥満マウスでのみLC食で低値を示した。肝臓中の代謝関連遺伝子の発現では、SIRT1は肥満および非肥満マウスの両方においてLC食で有意に上昇した。 FABP4は、肥満マウスではLC食で上昇し、非肥満マウスではLC群で減少した。 以上の結果より、長期的LC食は、肥満及び非肥満の条件により影響が異なることが示された。また脂質代謝を含めた遺伝子発現を変化させる可能性が示唆された。
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