最終年度として、本研究のまとめとなる論文を作成し、当初の最終目標の一つであった「「演技」を用いた教育を行う際に注意すべきジェンダー的視点についての問題提起」及び解決案を提示した。特に、演技の授業に潜む「隠れたカリキュラム」という視点から、以下、抽出し、考察した。 ①大学入学以前の隠れたカリキュラムの影響②教員の中に潜む隠れたカリキュラム③教材の隠れたカリキュラム 更に、第17回学際研究会にて研究発表を行い、この研究で大学教育における「演技の授業」において問題提起した視点は、「演技の授業」に限られた課題ではなく、「大学教育」という大きな枠組みにおいても当てはめて考えることが出来、他分野においても、個々の授業及び担当教員が「ジェンダー」という視点から自身の専門分野や授業を見直し、今回の問題提起及び解決案を応用して考えることが出来るということが示された。 今回最終的にたどり着いた結論及び発見点は以下の通り。①「演技の授業」における「ジェンダー」を考えることは、単に差別的な視点の排除ということではなく、学士力の育成につながるということ②ジェンダーを考えていくことは、女性、男性、そして様々なジェンダーアイデンティティーを持つ若者が未来の演劇人として舞台上、舞台裏で輝くためにどの様な教育を今必要としているかを考える事であること③研究当初は、自身の専門分野である演劇(演技)から、「演技の授業」におけるジェンダーを出発地点とし、特に「かわいい」というキーワードから探求しはじめる、限定的な範囲を想定して開始したが、結論として他分野へのアプローチ及び応用が可能なこと④「演技の授業内」だけの問題ではなく大学教育以前の教育も関係していること 今後の展望としてはプラクティカルな方面からの演技法とジェンダーの関係を考察し、よりよい演技の授業について探求していきたい所存である。
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