研究課題/領域番号 |
25870743
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
山本 健 中央大学, 理工学部, 助教 (00634693)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 統計物理学 |
研究実績の概要 |
本年度は、時系列データの解析手法の構築をおこなった。この手法では、位相幾何学のデータ解析法として発展しているパーシステントホモロジーの考え方を時系列データに適用した。時系列データを地形になぞらえると、海面の高さを下げていったときに現れる「島」がパーシステントホモロジー類に対応する。パーシステントホモロジーを用いると、それぞれの「島」がいつ現れていつ消えるかを計算することができる。この手法では、「島」の寿命の統計的な性質に注目する。粗さを制御して数値的に生成した時系列を分析したところ、「島」の寿命の分布がベキ分布にしたがうことが分かった。さらに、寿命の累積分布のベキ指数と粗さ指数の関係を数値計算から推定し、非整数ブラウン運動のスケーリング性を用いてこの関係を理論的に示した。この手法はデータに内在するノイズの影響を受けにくいなどの利点があると予想しているが、詳細な性能の評価および実際の時系列への適用は今後の課題である。さらにこの手法は、時系列データのみならず2次元以上の界面の粗さの測定にも利用することが可能であると考えられる。高次元データへの拡張も進めたい。この解析法および理論に関する成果は雑誌論文および国内学会で発表した。また、前年度までの成果についても学会等で発表をおこなった。現在、歴史教科書における人名の出現頻度の統計則の研究を進めている。この結果もまとまり次第、学会および論文で発表の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時系列データの解析法は当初の研究計画には含めていなかったが、一定の成果が得られたことから、研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
時系列データの粗さの解析手法を実際のデータに適用すること、および歴史教科書の分析を中心に研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
まとまった成果が得られてから発表したいと考えたため、研究期間の延長を申請した。
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次年度使用額の使用計画 |
主として国内の学会発表にかかる費用(旅費、参加費)および論文発表にかかる費用(論文掲載料、校閲料)に充てる。資料の不足が生じた場合には、その購入費用としても使用する。
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