本研究は工業化を進めるベトナムの農林水産業、農村における新たな動きとして、大規模経営主体が発展していることに着目し、その存立要因と経済発展に与える影響を明らかにする。具体的に明らかになった点は以下である。(1)農村人口、農林水産業就業者数の変化が定常的である中、農林水産業の大規模経営主体は重要な雇用吸収の担い手となっている、(2)大規模経営主体の存立要因には地域性があり、また農業機械導入により雇用労働監視問題を克服している、(3)農村・都市間よりも農村内、都市内での所得格差が拡大しており、農村人口、農林水産業就業者数の定常性を裏付けている。
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