研究課題/領域番号 |
25870757
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
竹内 雄一 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70588384)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 中枢 / 神経回路 / 可視化 / 行動 / トレーサー / 免疫組織化学 / ウイルス / 治療 |
研究概要 |
末梢感覚神経切断や脊髄損傷により上行性感覚経路が遮断されると、しばしば幻肢痛等中枢性疼痛が生じる。このような中枢性疼痛の神経基盤として視床回路再編に伴う求心性情報の混線が示唆されており、その回路再編の証明およびその発達・維持機構の解明が望まれている。本研究でそれらが達成されれば、中枢性疼痛の治療法開発の端緒となる可能性がある。最近申請者らは、三叉神経第二枝切断により、マウス視床中継細胞が多数の新規求心性線維投射を受けるようになること(内側毛帯線維再編)、さらに同時期に近隣下顎領域(三枝領域)に感覚異常が生じることを認めた(疼痛行動)。また再編回路には、通常存在しないGluA2受容体が出現した。そこで本研究では、まず内側毛帯線維再編を領域特異的に可視化し、次に内側毛帯線維再編と疼痛行動との相関関係を検討し、さらに視床GluA2受容体が、回路再編および疼痛行動の発達・維持に関与するか検討することを目的とする。すなわち中枢性疼痛神経基盤の回路/分子レベルでの解明を目的とする。初年度は、1.三叉神経第二枝切断による内側毛帯線維再編の領域特異的可視化、および2.三叉神経第二枝切断による疼痛行動の長期的時間経過を検討した。 1.まず三叉神経第二枝領域由来内側毛帯線維に特異的に蛍光タンパク質を発現する遺伝子改変マウスを作成した。三叉神経第二枝切断後、当該マウスの二枝領域視床において二枝領域由来求心性線維終末の減少と非二枝領域由来求心性線維終末の増加を認めた。次に逆行性神経トレーサーを用いて非二枝領域由来求心性線維の起始核を検討したところ、三枝領域三叉神経核や後索核群であった。 2.疼痛行動の時間経過を検討したところ、三叉神経切断一週間後から出現し半年後まで持続した。 その他、次年度以降に用いるウイルスベクターおよび遺伝子改変マウスの導入および動作確認を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた研究実施計画2点、すなわち1.遺伝子改変マウスおよび順行性・逆行性神経トレーサーによる再編回路の可視化、および2.疼痛行動の長期的時間経過の検討、が達成されたため。加えて次年度以降に用いるウイルスベクターおよび遺伝子改変マウスの導入および動作確認を行うことが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、初年度の計画を継続すると共に、内側毛帯線維再編および疼痛行動“発達”への視床GluA2受容体の関与検討を行う。すなわち視床特異的にGluA2受容体をノックアウト(KO)した動物を作成し、その動物が三叉神経第二枝切断により内側毛帯線維再編および疼痛行動を生じるか検討する。 最終年度は、主に内側毛帯線維再編および疼痛行動“維持”への視床GluA2受容体の関与検討を行う。すなわち一度発達した病態(内側毛帯線維再編および疼痛行動)が、その後視床特異的にGluA2受容体をKOもしくはノックダウン(KD)することでレスキュー(正常化)されるか検討する。内側毛帯線維と感覚は相関関係を持って正常化されることを想定している。
|