研究課題
ADAMTS9は細胞外に分泌され、細胞外マトリックスを分解する酵素として知られていたが、我々はADAMTS9が細胞外だけではなく、ER内で機能し、ADAMTS9の発現抑制により、ER-Golgi間の蛋白質輸送が阻害されること、この機能はC末端にあるGONドメインが重要であり、ヒトと線虫C.elegansで共通していることを見いだした (Yoshina et.al. 2012)。ヒトにおいて、ADAMTS9のSNPは2型糖尿病のリスク遺伝子の1つであることが報告されている。しかし、このSNPを持つことにより、β細胞におけるインスリン分泌と末梢組織におけるインスリン感受性のどちらに影響を及ぼすかは不明である。そこで線虫C.elegans を用い、ADAMTS9のホモログであるGON-1の機能を抑制することにより、インスリン分泌細胞におけるインスリン分泌と、末梢組織におけるインスリンシグナル伝達経路のどちらが阻害されるかを検討した。GON-1/ADAMTS9の有無によるDAF-16/FoxoとINS-7の局在変化を観察した結果、DAF-16::GFPはWild typeでは細胞質と核に局在しているが、gon-1 mutantでは核に強く局在するようになっていた。また、INS-7は、Wild typeでは神経から分泌され、神経細胞内ではほとんど観察されないが、gon-1 mutantでは神経内における蓄積が観察された。これらgon-1 mutantの表現型は、GONドメインを発現させることにより抑圧された。以上の結果より、GON-1の機能抑制により、インスリン分泌とインスリンシグナル伝達経路の両方が阻害されていることを見いだした。
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