平成27年度は本研究課題の最終年度であったため,古写真を用いた現存しない歴史的建造物を復元するための3次元情報を取得する手法のまとめを行い,論文として公表した。
通常,写真測量の原理を用いて対象物の 3次元情報を取得するためには,2枚以上の写真を必要とするが,本研究では 1 枚の写真のみから対象とする建造物の幾何学情報を抽出し,3次元情報の取得を試みた。対象とした建造物は,写真上において遠近法の二点透視法に近い構成で写し込まれている旧帝国劇場である。
旧帝国劇場の写真上からは 2 点の消失点を推定し,さらに画角の推定や長さの指標としての人物の身長の利用により,撮影に用いたカメラの画面距離,撮影点から対象物までの奥行き距離等の推定値を順次求め,それらの推定値より旧帝国劇場の表面の各点に対する 3 次元座標を算出した。
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