研究課題/領域番号 |
25870767
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
金沢 貴憲 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (60434015)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 細胞透過性ペプチド / ナノキャリア / DDS / 核酸 / 脳 / 経鼻投与 |
研究概要 |
本研究では脳神経疾患の新規治療法確立に向けた核酸医薬の脳神経系選択的かつ効率的な送達システムの確立を目的としている。H25年度は、新規ナノキャリアの開発に向け、これまでの検討により脳への薬物移行を向上させることが明らかとなっている細胞透過性ペプチド修飾ナノキャリアに着目し、本キャリアの脳への核酸送達促進機構の解明を目的とし以下の項目について検討した。 ①経鼻投与後の鼻粘膜透過性を検討した結果、細胞透過性ペプチド修飾ナノキャリアと共に核酸を経鼻投与することで、核酸の鼻粘膜透過性を向上することを明らかとした。 ②Nose-to-Brainの主要な経路として報告されている嗅神経、三叉神経、脳脊髄液における経鼻投与後の核酸の挙動を検討した結果、細胞透過性ペプチド修飾ナノキャリアを用いることで、嗅球ならびに三叉神経への核酸分布ならびに脳脊髄液中核酸濃度を向上させることを明らかとした。 ③経鼻投与後脳を、嗅球、脳吻側組織、脳尾側組織、脳幹に4分割し経時的な脳内の核酸推移を測定した結果、経鼻投与15分後嗅球において、また1時間後脳幹において高い核酸分布が見られた。その後脳吻側組織では嗅球に引き続くような高い分布を示し、脳尾側組織では脳幹に引き続くような高い分布を示した。 以上より、細胞透過性ペプチド修飾ナノキャリアと経鼻投与を利用した脳への核酸送達促進機構は、主に嗅神経経路や三叉神経経路を介した核酸の移行を増大させることに起因していることが示された。さらに、嗅神経経路や三叉神経経路を介して嗅球、脳幹へと運ばれた核酸は、他の脳組織にも移行することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度は、当初の計画通り、細胞透過性ペプチド修飾ナノキャリアによる脳への核酸促進機構についておおむね明らかにすることができた。これにより、経鼻投与型機能性ペプチド修飾神経指向性ナノキャリアに必要なペプチドとして、経鼻投与後の鼻粘膜透過性、嗅神経・三叉神経への移行を促進できる細胞透過性ペプチドが重要であることを見出した。よって、本申請研究を順調に進めることができたと考えている
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今後の研究の推進方策 |
今後は、H25年度の研究成果を基に、細胞透過性ペプチドの改良、神経指向性ナノキャリアの開発を中心に研究を進める予定である。細胞透過性ペプチドについては、ラットを用いて脳への核酸送達性を評価する。神経指向性ナノキャリアについては、神経細胞を用いて細胞取り込みや取り込み経路を検討する。さらに、細胞透過性ペプチドと神経指向性ナノキャリアを組み合わせた経鼻投与型細胞透過性ペプチド神経指向性ナノキャリアの調製法の検討も並行して進めていく予定である。
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