昨年度の回分式装置で得られた知見に基づき、本年度は流通式静電乳化装置の作成と油脂内包型カプセルの作製について検討を行った。流通式装置においては、カプセル基材である被膜液の加熱送液システム、及び微粒化されたエマルションの冷却システムを構築した。連続式装置における操作因子として、吐出流量(被膜液流量、内包液流量、キャリア溶液流量)、電極間距離、印加電圧、リング内径、被膜液を送液するシリンジ内径等について検討を行った。その他、放電や短絡といった現象を防ぐための電極構成パターンについても検討を行った。主な結果として、カプセル粒径に大きな影響を及ぼすのは印加電圧であり、臨界電圧よりわずかに低い電圧を印加すると、100 μm程度の粒径が得られることを見出した。また、被膜液流量 6.0 mL/h、内包液流量 1.5 mL/h、キャリア溶液流量 500 mL/hの条件において、安定的に油脂内包カプセルを得ることに成功した。また、DSCを用いた融解熱量の測定から油脂内包率を算出した結果、作製したカプセルの油脂内包率はおよそ20 %であった。以上の結果、エマルションテンプレート法と静電微粒化法を組み合わせた本手法は油脂内包カプセルの連続製造において有用であることを示した。
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