研究課題/領域番号 |
25870781
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
川村 仁子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (40632716)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | トランスナショナル・ガバナンス / グローバル・ガバナンス / 非国家主体 / 自主規制 / 官民混合パートナーシップ(PPP) / 先端科学・技術 / 規範論 / ヨーロッパ |
研究実績の概要 |
今年度も、引き続き海外での調査や収集資料をもとに、先端科学・技術分野における非国家主体によるトランスナショナルな自主規制の分類と、理論的・制度的側面からの分析を行った。 前年度の平成26年2月19日から1週間、フランス・パリおよびストラスブールにおいて行った海外調査では、パリのLa Documentation Francaise およびパリ第一大学を訪れ、当該研究に関する資料、フランス国務院の判例を収集を行った。また、European Space Agency (ESA)を訪問し、元事務次長、元事務局長最高顧問のRene Oosterlinck博士および国際関係局長のFrederic Nordlund博士へのインタビューを実施した。今年度の前半は、収集した資料を分類し、先端科学・技術分野、特に航空・宇宙分野におけるに国家、国際機構、企業のパートナーシップによるガバナンスについての、理論的・制度的側面からの分析を行った。 また、後半には、立命館大学研究推進プロジェクト(若手研究)との連携により、Oosterlinck博士を招聘して、"Techonology and Transnational Governance: Public Private Partnership (PPP) in Space"をテーマにした国際ワークショップ開催するとともに、測位航行衛星ガリレオプロジェクトにおける官民混合パートナーシップによるガバナンスの課題と可能性についてインタビューおよび議論を行った。 これらの成果をまとめ、平成27年5月7日から9日にローマのルイス大学で開催される国際会議 "Risks and Opportunities in the Civil Society -Public Institutions Relationship A Re-Assessment of the EU and Global Policy Process-"において、研究報告を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、ヨーロッパの先端科学・技術分野、特に航空・宇宙分野の、国家、国際機構、EU、企業による重層的なガバナンスにおける、官民混合パートナーシップ(PPP)に着目し、資料収集、インタビュー調査を行った。それによって、PPPの制度的課題と可能性の分析を行うことができた。 しかし、PPPの分析のために予想以上の時間がかかったことと、次年度の平成27年5月にローマのルイス大学で行われる国際会議での研究報告(審査付)が決定したことによって、当初平成27年度分として予定していた以上の旅費が必要になったことにより、平成26年度夏に予定していた海外調査は断念した。 今後は、当初予定していたヨーロッパにおけるナノ・テクノロジー分野の非国家主体によるトランスナショナルな規範に関する資料および、国家、国際機構、非国家主体による重層的なガバナンスに関する資料の収集、および、国内のナノテクノロジー・プラットフォームに参加する主要研究機関での資料収集、インタビュー調査を行う。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの研究を継承し、更に発展させ、非国家主体によるトランスナショナルな規範形成やガバナンスが、国際機構および国内の政府、企業、研究機関、研究者などにどのような影響を与えているのかを分析することで、国境を越えた重層的なガバナンスの可能性と課題について、理論的・制度的側面から検討する。特に、トランスナショナルな自主規制の「国際法規範性」と、その「正統性」に着目する。 平成27年度は、主にナノ・テクノロジー分野の自主規制を事例として扱う。国内のナノテクノロジー・プラットフォームに参加する主要研究機関、国際的な先端科学・技術系の学会、関連企業、担当省庁を訪問し、ナノ・テクノロジー分野の自主規制に関する資料収集や、アンケート調査、インタビュー調査を行い、理論的・制度的側面から分析する。 平成25年度、26年度の成果をまとめ、平成27年5月7日から9日にローマのルイス大学で開催される国際会議 "Risks and Opportunities in the Civil Society -Public Institutions Relationship A Re-Assessment of the EU and Global Policy Process"において、研究報告を行う。また、今年度は、博士論文に本研究のこれまでの成果を加えた単著を法律文化社より、海外の研究者とGlobal Civil Societyに関する論文集をRutledgeより出版する予定である。加えて、前年度同様、国内外での学会、研究会での報告、ならびに、雑誌投稿を通して成果を発信する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年5月にローマのルイス大学で行われる国際会議での研究報告(審査付)が決定したことによって、当初平成27年度分として予定していた以上の旅費が必要になったことにより、平成26年度夏に予定していた海外調査は断念し、次年度使用額として予算を残した。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、主にナノ・テクノロジー分野の自主規制を事例として扱う。国内のナノテクノロジー・プラットフォームに参加する主要研究機関、国際的な先端科学・技術系の学会、関連企業、担当省庁を訪問し、ナノ・テクノロジー分野の自主規制に関する資料収集や、アンケート調査、インタビュー調査を行い、理論的・制度的側面から分析する。そのため、平成27 年度予算は主に、関連図書の購入(5000円×30冊)、ナノテクノロジー関連の開発者・専門家へのインタビューの謝礼(30000×3人)、これまでの研究成果の海外発信のための英語論文の校閲費(50000円×1本)、その他をインタビュー先への旅費および国内外の学会・研究会での成果発信の諸経費にあてる。 次年度使用額は平成27年5月7日から9日に、イタリア・ローマのルイス大学で開催される国際会議での研究報告のための旅費およびその他の諸経費に当てる。
|