研究課題/領域番号 |
25870781
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
川村 仁子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (40632716)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | トランスナショナル・ガバナンス / グローバル・ガバナンス / 規範論 / 先端科学・技術 / 非国家主体 / 自主規制 / 官民混合パートナーシップ(PPP) / ヨーロッパ |
研究実績の概要 |
平成27年度は、まず、これまで本研究において収集した資料や、平成26年2月にパリで、平成27年12月に京都で行ったEuropean Space AgencyのRene Oosterlinck博士およびFrederic Nordlund博士へのインタビュー内容を理論的・制度的側面から分析した。そして、平成27年5月にイタリア・ローマのLUISS Universityで開催された国際シンポジウム"Risks and Opportunities in the Civil Society- Public Institutions Relationship A Re-Assessment of the EU and Global Policy Process" に参加し、これまでの本研究の成果を、研究協力者である立命館大学の龍澤邦彦教授と共同で発表した。 また、『原理から考える政治学』(出原政雄ほか編著、法律文化社、2016年2月)の出版企画に分担執筆者として参加し、本研究の成果の一部として、非国家主体の自主規制によるトランスナショナル・ガバナンスに関する研究の成果を公表した。さらに、博士学位論文の修正に加え本研究の成果を加筆した、単著の執筆を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、これまでに引き続き、ヨーロッパの先端科学・技術、特に航空・宇宙分野における国家、国際機構、企業による官民混合パートナーシップと、企業や研究機関が自主的に行っているトランスナショナル・ガバナンス関連の資料収集を行った。加えて、ナノテクノロジー、情報技術、人工知能分野の国内法、国際法、非国家主体の自主規制に関する資料の収集を行うことができた。 また、これまでに集めた資料やインタビューを理論的・制度的側面から分析した研究成果を、平成27年5月にイタリア・ローマのLUISS Universityで開催された国際シンポジウム"Risks and Opportunities in the Civil Society- Public Institutions Relationship A Re-Assessment of the EU and Global Policy Process"および『原理から考える政治学』(出原政雄ほか編著、法律文化社) において公表することができた。また、次年度になるが、平成28年4月に博士学位論文の修正に加え本研究の成果を加筆した、単著『グローバル・ガバナンスと共和主義』(法律文化社)の出版を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は本研究の最終年度である。これまでの研究を継承し、航空・宇宙分野における官民混合パートナーシップに焦点を当てながら、先端科学・技術分野の非国家主体による自主的な規範・制度形成を中心とするトランスナショナル・ガバナンス自体と、それらが国家、企業、研究機関、研究者、国際機構にどのような影響を与えているかについて、理論的・制度的側面から分析する研究を続ける。さらにはその研究成果を、ナノテクノロジーおよび人工知能分野のガバナンスに関する研究へとつなげる予定である。そして、最終的に、先端科学・技術分野のトランスナショナル・ガバナンスの「法規範性」および「正統性」に着目しつつ、その可能性を追求する。 成果の公表としては、平成28年4月に博士学位論文の修正に加え本研究の成果を加筆した、単著『グローバル・ガバナンスと共和主義』(法律文化社)を出版する。また、トランスナショナル・ガバナンスを含めた国際秩序に関する共著を、平成28年度あるいは平成29年度中に晃洋書房およびRutledgeより出版予定である。将来的には、本研究の成果を踏まえ先端科学・技術と社会に関するシリーズ本をミネルヴァ書房より出版する企画も立てている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度において、平成27年5月にイタリア・ローマのLUISS Universityで行われた国際シンポジウムRisks and Opportunities in the Civil Society- Public Institutions Relationship A Re-Assessment of the EU and Global Policy Processでの研究発表が決まり、平成26年夏あるいは平成27年春に予定していた海外調査を断念し、その分の研究費を平成27年度の国際シンポジウムのための旅費に当てる予定であった。しかし、予想よりも旅費を抑えることができたために、平成26年度に断念した海外調査を次年度に行うため、予算を残した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、主に平成26年度に断念した海外調査を最終年度に当たる平成28年度に行うための旅費・諸経費として使用する予定である。ヨーロッパを中心に、航空・宇宙分野およびナノ・テクノロジー分野の非国家主体の自主規制や官民混合パートナーシップに関する資料収集、アンケート調査、インタビュー調査を行う。また、これまでの研究成果の海外発信のための英語論文の校閲費に当てる。 次年度経費全体としては、海外調査のための旅費(400000円)、インタビューの謝礼(30000円×3人)、関連図書の購入(5000円×30冊)、英語論文の校閲費(80000円×1本)、その他諸経費として使用する計画である。
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