2017年度は本研究の最終年度であった。前半期は、先端科学・技術分野のトランスナショナル・ガバナンスをより精緻に分析することが必要であったため、追加の資料収集および海外の研究者へのメールインタビュー等を行った。とりわけ、昨今その社会への影響が懸念されているAIロボットおよびナノテクノロジーに焦点を当て、それらのガバナンスをめぐる、国内法、EU法、国際法、民間の自主規制(グローバル法)の関わりを、規範および制度的側面から分析した。 後半期は、2017年度より科研費若手研究Bに採択された「国際的な官民連携による先端科学技術ガバナンスの研究」(17K18239)と連携させることによって、積極的な官民連携による先端科学・技術ガバナンスに取り組んでいるヨーロッパの研究者からの情報収集および研究機関とのネットワークの構築と、本研究の成果の公表を行った。 10月12日には、トゥールーズ第1大学のAlexandra Mendoza-Caminade教授を招聘し、立命館大学で"Advanced Technology and IR"という国際シンポジウムを開催した。また、10月28日には龍谷大学社会科学研究所アフリカ研究センター研究会に招聘され、方法論研究の成果を報告した。加えて、11月4日に慶応義塾大学で開催された第118回憲法学会において、本研究の成果として「ロボットをめぐる国際的なガバナンス: EUを事例として」(審査あり)という研究報告を行った。これらをまとめた、「AIロボットをめぐるグローバル・ガバナンスの現状と今後の展望:EUを事例として」(査読あり)が、2018年6月に発行予定の『憲法研究』第50号に掲載される。さらには、2018年度秋に、研究協力者である龍澤邦彦立命館大学教授とともに、本研究の成果を『国際秩序論』(晃洋書房)で公表する予定である。
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