研究課題/領域番号 |
25870784
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大隅 歩 日本大学, 理工学部, 助手 (40579413)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 強力超音波 / 空中超音波 / 非破壊 / 非接触計測 / 集束超音波 / 非線形 |
研究概要 |
1.コンクリートの浅層剥離を非接触非破壊で検出する装置の開発 コンクリートの浅層剥離を非接触非破壊で検出する装置を提案した手法に則り開発した。実験装置の要であるセンサヘッド部は、強力空中超音波を照射できる点集束型空中超音波音源と光学振動計測器(レーザドップラ振動計)を一体化させた構造とした。点集束型空中超音波音源は、超音波振動発生用圧電素子(ボルト締めランジュバン型振動子)と空中超音波を放射するためのジュラルミン製振動板、及び音波を集束させるための反射器(アクリルとケミカルウッド)により作成した。作成した超音波音源は、提案した手法を実現するための理想的な照射特性をなっており、集束点においては最大で5000Paの強力音圧を得ている。なお、発生できる音波は非線形性を有しており、高調波成分が発生していることを確認している。 2.コンクリートの浅層剥離を非接触非破壊で検出するシミュレーション コンクリートの浅層剥離を非接触非破壊で検出を、提案した手法の実験モデルを想定したシミュレーションを行った。具体的なシミュレーションのモデルは、本手法の計測原理を基に強力空中超音波による対象への加振力を対象エリアへの応力とし、その変位を解析することで行った。なお、解析に用いるコンクリートは、実際に文献などを基に作成した試料を用いた。解析の結果、提案手法によって剥離を検出できる可能性を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、以下のように研究を推進した。 1.強力空中超音波を対象に照射可能な点集束型超音波音源と非接触で対象の振動の検出が可能なレーザドップラ振動計を組み合わせたコンクリート浅層剥離の非接触非破壊検査装置を開発した。 2.提案した手法に則した解析を行い、コンクリートの浅層剥離の非接触検出の可能性を得た。なお、解析では実現場に則り作成した人工欠陥試料を用いている。また、予備実験として開発した本装置で樹脂材料の人工剥離試料で欠陥検出実験を行い適用な可能であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下のように研究を推進する。 1.コンクリートの浅層剥離を非接触非破壊で検出実験 まず、実験装置と試料との距離に関わる音波照射条件について検討を行い、最適な計測を実現する条件を見出す。次にレーザドップラ振動計で計測した剥離部分と健全部分の振動速度特性により、総合的に判断し、剥離部分を検出する。また、使用する空中超音波は非線形性を持つため、この音波で励振された試料は音波と同様な周波数成分の振動が発生する。ここで得られる高次周波数成分が剥離部分の検出時において分解能向上に有効な情報となりうる可能性について検討する。そして、試料の剥離部の位置や寸法、形状を変えて基礎実験を行い、本手法の検出可能限界について検討する。 2.実現場に適した計測システムの構築 上記の検討を踏まえて、実現場でも使用可能な計測システムを構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験装置の開発費用と実験用試料作製費用が予定よりも安価に抑えられたため。 物品費として使用する。具体的には、以下のように使用する。 1.実験を行う上で、サンプル数が多いほうが研究の信頼性が向上するので、追加の実験用試料作製の費用として使用し、実験の再現性の検討に役立てる。 2.開発した装置が、何らかの要因で突発的に故障した場合、研究が停滞してしまうので即座に修理できるように予備の材料費として使用する。
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