本研究の目的は、強力空中超音波と光学測定機器を用いて完全非接触かつ非破壊でコンクリート浅層剥離を検出することと、それを実用できる計測システムの構築である。本手法は、従来不可能とされてきた完全非接触での超音波探傷を実現するため、非常に強力な空中超音波を利用することに大きな特徴がある。具体的な手法としては、強力空中超音波でコンクリートを強制励振し、その振動を光学機器(レーザドップラ振動計)で非接触検出し、その振動を解析することで浅層の剥離を検出する。 平成26年度の研究成果は以下のとおりである。 (1)コンクリート浅層部の剥離を想定して作成した試料と組み立てた実験装置を用いて、コンクリート浅層剥離の検出実験を行い、以下のことを明らかにした。①実験装置と試料との距離に関わる音波照射条件について検討を行い、音波の半波長ごとに対称面の音圧が極大となることを見出した。②レーザドップラ振動計で計測した剥離部分と健全部分の振動速度特性により、剥離部分を映像化することができた。③強力空中超音波の非線形性によって発生する高次周波数成分を利用することで剥離部分の映像化精度を向上することができた。④模擬欠陥の剥離部の深さが異なる試料を用意し、本手法の検出可能限界について検討したところ、8mmまでの深さの欠陥を検出することができた。 (2)実用の場面に適した計測システムの構築を行った。具体的には、計測器とPCをリンクさせてすべて自動でデータ取得と解析を同時に行いかつリアルタイムで計測結果が表示できるシステムの構築を行い、本手法の実験装置に適用した。
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