研究課題
健康な乳児の腸内から分離されたLactobacillus crispatus KT-11のプロバイオティクスとしての効果を検討した。人口胃液を作成しKT-11の耐酸性能を検討したところ, pH3.0でKT-11の生菌数は減少したがpH4.0に耐性を示した。ヒト胎児小腸上皮培養細胞INT-407への付着試験では既存のプロバイオティクス細菌と比較して非常に低値を示したが,LPS刺激後のINT-407にKT-11を添加するとIL-8産生量およびTLR4発現量の低下が認められ,炎症が抑制されることが示唆された。各種乳酸菌存在下におけるマウス由来マクロファージ様株化細胞J774.1のIL-12産生におけるKT-11死菌(加熱後,凍結乾燥)の影響を検討したところ,H774.1細胞にKT-11を添加することでIL-12産生量およびTLR2発現量が優位に高くなった。また,乳酸菌およびTLR2リガンド刺激後のH774.1細胞にKT-11を添加するとIL-12産生量は優位に増加した。これらの結果から,KT-11がTLR2の発現を促進することで乳酸菌およびTLR2リガンドによるIL-12産生を促すことが示唆された。歯周病に対するKT-11の効果について検討を行ったところ,KT-11生菌と歯周病原細菌との混合培養において各種歯周病原細菌の殺菌効果認められた。また,歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis(P. g)を口腔内接種した歯周病モデルマウスにKT-11死菌を混合した食餌を与えたところ,血液中のIgG量と唾液中のIgA量の増加,P. g特異的抗体価上昇および歯槽骨吸収抑制を認めた。これらの結果から,KT-11経口摂取が歯周病を予防・改善できる可能性が示唆された。
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