本研究は、ストップシグナル課題時の脳波ならびに筋電図記録により、抑制機能に関連した大脳皮質活動様式および筋活動との関係について検討した。その結果、反応準備期後期の前頭前野の活動性(後期CNV)が高いほど実行処理が早期に完了し、抑制に失敗することが考えられた。さらに、抑制成功時において僅かに筋活動をともなう試行とそうでない試行があり、反応準備期前期の右下前頭回の活動性(前期CNV)が高い場合には、筋活動が認められなかった。これらの結果より、前頭前野における反応準備期の前期と後期の活動は、それぞれ異なった機序により抑制の情報処理に影響を与えることが示唆された。
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