塩でありながら室温で液体である「イオン液体」化を,難溶性薬物であるフルルビプロフェン(FLU)をリドカイン(LDC)の分子複合体形成により試みた.その結果,両者の加熱混融物は室温でゲル状の物質となり,各種分光法や固体NMRの検討により,分子複合体を形成していることが分かった.また,25℃でのFLUの溶解度は単味と比較して約150倍増大した.さらに,この複合体を含有したゲル製剤を用いてヘアレスマウスの皮膚透過性を行ったところ,FLUは単味と比較してFluxは約2.5倍向上した.以上より,薬物間で形成されるイオン液体形成は,その物理化学的特性及び生体膜透過性を向上させる新たな可能性を示した.
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