研究課題/領域番号 |
25870796
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
奥 輝明 星薬科大学, 薬学部, 助教 (20409361)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 食作用 / 貪食機構 / アクチン結合タンパク質 / Coronin-1 / リン酸化 / 結核菌 / 細胞内寄生 / PKC |
研究概要 |
本研究は、アクチン結合タンパク質p57/coronin-1を介した白血球の貪食機構の解明および細胞内寄生細菌(結核菌)の細胞内寄生機構の解明を目的としている。 白血球の貪食の際、p57/coronin-1は一過性にファゴソームに局在し、その後リン酸化されファゴソームから解離することが示されている。また、結核菌を取り込んだファゴソームからは本分子の解離が認められないことより、本分子のリン酸化に伴うファゴソームからの解離が貪食機構に重要であると考えられている。これまでに申請者は、p57/coronin-1がプロテインキナーゼC(PKC)によってリン酸化されることを報告しているが、PKCには少なくとも11種類のアイソフォームが存在すること、またそれらは厳密な時空間的制御を受けていることが知られている。p57/coronin-1の制御機構を明らかにするため、本分子のリン酸化に関連するPKCアイソフォームの特定を試みた。 複数のPKCアイソフォーム選択的阻害薬を用いて本分子のリン酸化の抑制について解析したところ、PKCα/β選択的阻害薬処理により抑制されたため、PKCαまたは/およびPKCβが、本分子のリン酸化に関連していることが示された。また、PKCα/β選択的阻害薬処理により、p57/coronin-1のファゴソームからの解離も抑制された。次に、RNA干渉法を用いてPKCαまたはPKCβの発現を抑制したところ、PKCαの発現を抑制した場合においては、本分子のリン酸化が抑制された。さらに、精製した本分子および組換え型PKCαまたはPKCβを用いた in vitro キナーゼアッセイを行ったところ、PKCαによって本分子のリン酸化が認められた。以上のことより、本分子のリン酸化にはPKCαが関与しており、このリン酸化が本分子のファゴソームからの解離に関与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度に計画していた「ノックダウン細胞、変異体レスキュー細胞の樹立」において、ノックダウン細胞の樹立は行えた。変異体レスキュー細胞は、ウイルスベクターを用いても安定した株が得られにくく、全ての変異体において完了した訳ではないが、おおむね順調であるといえる。しかし、「結核菌由来p57/coronin-1制御因子の探索」に関連する実験は結果が得られていない。そのため、引き続く「欠損株の作製」は行えていない。 一方、H26年度に計画している「リン酸化酵素の特定」が先行しており、本研究計画的にはおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き「結核菌由来p57/coronin-1制御因子の探索」を行う。菌体の破砕方法やタンパク質の量を検討することで結果が得られると考えられた。 「レスキュー細胞の樹立」は発現ベクターを変更することやウイルス濃度の検討などで対処できると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
ドイツより輸入手配したマウスの輸送費が年度末まで確定しなかったために、少し余分に残しておいたことによる。3月末になったしまったために残金の使用が出来なかった。 昨年度に購入を控えていた消耗品の購入に充てる。
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