研究課題/領域番号 |
25870803
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中村 和幸 明治大学, 総合数理学部, 専任准教授 (40462171)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | データ同化 |
研究実績の概要 |
本年度は,前年度検討し採用したバッチ型データ同化アルゴリズムについて,採用した検証用モデルである Lorenz 63 モデルならびに Lorenz 96 モデルと,両モデルの基礎となるレベルシフト型モデルに対する計算機実験のための実装を行った.レベルシフト型モデルについては,検証の過程でより基礎的な検討の必要性を見出したことから導入した.これらの実装されたシステムにおいて,モデル化誤差の大きさと分布を変えながら,誤差構造がバッチ型アルゴリズムに与える影響について数値実験による検討を進めた. レベルシフト型モデルについては,分布形をコーシー分布とし,その誤差レベルを変化させることで,誤差構造にどのような影響があるかを検討した.その際には,バッチ型アルゴリズムに加え,逐次型アルゴリズムによる推定結果も加えることで,検討を深めた.その結果,コーシー分布におけるパラメータ変化によって,誤差構造を連続的に変化可能であり,これを通じたモデル化ができることが確認できた. Lorenz 63 モデルについては,採用したアルゴリズムによる誤差の低減が可能となることを見出すとともに,複数の状態に同時に誤差を入れたときの影響は小さいことが確認された.Lorenz 96 モデルについては,Lorenz 63 モデルには含まれない空間構造があることに由来して,モデル化誤差の空間構造が推定誤差や予測誤差に影響を与える傾向にあることが確認された.これらにより,モデル化誤差の空間構造をうまく定式化することで,データ同化を通じたリスク検知に対する可能性を見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたパラメータ検討範囲よりも広い範囲を検討する必要が発生し,整理にやや時間がかかっているものの,数値実験そのものは順調に進んだことから,当初計画に対してはおおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
結果の整理を進めていき,場合によっては数値実験の精緻化も行うことで,研究成果の取りまとめと発表を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進める中で,数値実験の部分においてパラメータのとり方に追加的な検討と数値計算の必要性が新たに見出された.そこで,当初予定していた費用の一部を計算機に振り分け研究加速をしたが,外部発表のために必要な結果整理にやや遅れが生じたため,当初予定していた成果発表のための旅費ならびに論文投稿費などに次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果の外部発表のための旅費,ならびに論文投稿に必要な費用と論文校閲のための謝金に使用する.
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