さまざまなシミュレーションモデルと観測データを融合するデータ同化について,よりよい予測や発見を得るためのバッチ型データ同化アルゴリズムに関する研究を進めている.最終年度は,前年度に引き続き,各種分析用シミュレーションモデルにおけるバッチ型データ同化アルゴリズムに関する数値実験を,パラメータを変えながら行った.その結果,前年度までに採用した Lorenz 63 モデルならびに Lorenz 96 モデルに対するアルゴリズムによる誤差軽減の効果についての確認がさらに進み,有効性の確認が進んだ. また,数値実験を通じてアルゴリズムの検討をする中で,セミバッチ型アルゴリズムに対して有効粒子数が精度に与える影響の重要性が確認された.そこで,本研究での成果を,簡易多粒子系データ同化プログラムの構築に応用した. 研究期間全体を通じては,バッチ型データ同化アルゴリズムについて,当初想定していたアルゴリズムではなく,再計算型のアルゴリズムによって成果が得られることを確認するとともに,レベルシフト型の簡易的なモデルも含む各種シミュレーションモデルにおける適用性の確認ができた.特に,連続性の観点とモデル化誤差の影響に関する検討が進んみ,今後のデータ同化研究におけるさらに新しいアルゴリズムを構築するための基礎的な知見が得られた.さらに,本研究の派生として,多粒子系におけるデータ同化への応用可能性とそのための基礎的な検討結果を得た.
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