研究実績の概要 |
最終年度は第一に、初年度、次年度に実施出来なかった調査があれば実施すること、第二に、関連研究のフォローを続け、必要であれば仮説やフレームワークの修正を行うこと、第三に、研究成果のアウトプットを行うことを計画として掲げていた。 第一の点について。初年度、次年度に計画していた調査は、すべて当該年度のうちに終了することができた。そのため特に追加調査等は行わなかった。第二の点について。研究サーベイは前年度までの調査予算の効率的使用により当初より予算を厚く確保できたため、予定よりも拡充して行った。その結果、クリエイティブ都市論(フロリダ, Rら)や人的資本論(モレッティ, E)など当初想定していた研究領域にとどまらず、最新の知識経済と都市に関する知見(Nijkamp, Pら)、知識労働者主導型産業集積論(Oakey, Rら)、都市アメニティ拡充政策とその裏面に関する諸論者にまで検討の対象を広げ、当初の仮説・フレームワークの基本構造は維持しつつ、都市アメニティ拡充とジェントリフィケーションの視点を拡充した。第三の点について。アウトプットとして、成果の一部を全国学会の関東部会で報告したほか、「米国シアトル:ソフトウェア産業エコシステムの新展開」(米英イノベーション先進地域に関する学会誌特集号への寄稿)と「The Development of the Software Industry Agglomeration in Seattle: Influencing Factors, Policy Effects」(当初計画で努力目標として掲げた英文論文)という研究論文2本を年度内の雑誌掲載論文として確定した。当初計画で設定した「応用集積論」視点からシアトルの知識労働者主導型産業集積を論じるペーパーであり、調査結果を十分に織り込んだ実証的論文となった。11月刊行予定の共著にも成果を盛り込んだ。
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