研究課題/領域番号 |
25870808
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
丹治 恭子 立正大学, 仏教学部, 講師 (30509005)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 教育の私事化 / ケア(育児)の社会化 |
研究概要 |
本研究は、日本の乳幼児施設の二元体制の根拠とされている「教育」「ケア」概念に着目し、それぞれの概念の意味内容の変化の状況を、「幼保一元化」をめぐる動向を中心に実証的に検討することで、従来の二元体制を超えた「幼保一元化」の行き着く先として描かれる施設の役割・内実を問うことを目的としている。2013年度は当初の研究計画に即して、近代日本の保育制度の二元体制を支える「教育」「ケア」という二つの機能についての理論的検討を中心に、主として以下の二つの課題に取り組んだ。(1)「幼保一元化」を支える学説の検討を行い、「教育」「ケア」概念の相克の場としての「幼保一元化」が用いられる文脈を整理する理論的インデックスを作成する。(2)2000年代に実施された「認定こども園」制度について、特に都道府県の水準での政策分析を行う。 (1)については、近代における乳幼児の「教育」「ケア」を中心的に担う場とされてきた家族との関わりを中心に「幼保一元化」の背景について検討すると共に、乳幼児期の子育て場面において生じる「教育」「ケア」機能の相克・葛藤について考察を深めた。(2)については、次年度の内容分析に向けて、各都道府県が制定している「認定こども園」に関する条例または関連施策の収集を行った。 これらの検討作業の結果は、2013年9月に埼玉大学で開催された日本教育社会学会第65回大会において発表を行った。また、2014年度に刊行される書籍に掲載を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
保育制度史、家庭教育、ジェンダー研究等、「幼保一元化」に関わる幅広い先行研究をもとに、「ケア」「教育」機能の相克に関する理論的検討を進めている。また、翌年度の分析に向けて、都道府県における「認定こども園」の政策資料収集もおおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度は最終年度となることから、「幼保一元化」に関する理論的検討ならびに「認定こども園」の政策分析をもとに、「教育」「ケア」概念の相克の様態を異なる位相から立体的に捉え、これまでの研究成果をまとめ上げることを課題とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度購入予定であった機器については、次年度にさらに高い性能を有する機器の発売が予定されていることが判明したため、本年度の購入を見送り、次年度に購入することとした。また、ソフトについても、今年度時点では購入予定の機器に対応したソフトが発売されていないことから、バージョンアップされたソフトを次年度購入する予定である。なお、次年度に発売される機器・ソフトを用いることで、より正確かつ精度の高い分析が可能になるものと考えている。 次年度購入予定の機器・ソフトが必要不可欠となる政策分析は、計画段階より次年度の実施を予定していたため、当初の計画通りに研究を進めることが可能である。現時点で研究は順調に進行しており、政策分析の準備も整いつつあるため、次年度早々に機器・ソフト等を購入し、データ解析に取り組む予定である。
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