研究課題/領域番号 |
25870810
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
胡 浩 早稲田大学, 理工学術院, 客員次席研究員 (00570152)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 国際資源循環 / 静脈産業 / 技術移転 / エコタウン / LCA / 安全安心 / データベース / クラウド |
研究概要 |
本研究では、1)国際資源循環システムの環境負荷・経済性の実効性評価手法の高度化、2)中国大連国家生態工業モデル園を拠点とした国際資源循環システムの検討、3)中国大連国家生態工業モデル園をモデルとした安全安心な静脈システムの検討、3つの項目を通し、国際資源循環システムを構築する際のモデリング方法論の一般化を図りながら、海外静脈施設におけるリスクマネジメント手法の検討を行い、アジア圏における安全安心な資源循環システムモデルの形成を目的とする。 2013年度では上記項目に対応し、1)LCAにおけるカテゴリー重要度の推定手法について、従来のアンケート法に加え、新聞記事によるテキストマイニング手法の適用を検討し、その有効性を検証できた。これによりWEB検索エンジンの活用により効率的な情報収集を実現でき、さらに中国におけるLCI(Life Cycle inventory)データ収集を行い、統合化指標ELP(Environmental Load Point)の中国版の高度化を行った。 2)古紙を例に取り上げ、大連庄河市における古紙の発生量、収集回収等の実態を現地行政、資源回収業者、製紙会社へのヒアリングを通して調査し、その現状と傾向分析を行った。さらにアジア圏の古紙状況を鑑み、共同研究先である松本光春商店、大連モデル園区と共同で大連古紙リサイクルシステムの構想を立て、現地行政への提案を行った。またマテリアルリサイクルが困難な劣化古紙、プラを対象に、燃料化事業の可能性分析を行い、日本技術導入に向けた検討を行った。 3)中国全国の静脈関係者に安全安心に関するヒアリングを行った結果、安全配慮への意識はあるが、事業面でのシステム効率性、費用対効果、普及可能性等の指摘を受け、これまで日本で開発した情報収集システム、リスク評価手法等をパッケージ化し、クラウド型リスクマネジメントシステムを提案した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画をおおむね順調に進めていると評価し、その理由を以下に示す。 本研究は3つの研究項目に分けて研究を進めている。1)国際資源循環システムの環境負荷・経済性の実効性評価手法の高度化について、テキストマイニング手法を適用し、カテゴリー重要度の推定手法の高度化、およびLCIデータ収集を行い、中国版統合化指標ELPの高度化を図った。 2)中国大連国家生態工業モデル園を拠点とした国際資源循環システムの検討について、協力会社と連携して古紙、廃プラを中心にリサイクルシステムの検討やシステムの構築、さらに現地行政機関への提案を行った。また現地における生活ごみの処理実態も調査し、適正な処理システムの検討を行った。また危険廃棄物である電炉ダストの処理実態に関する企業情報の収集を行った。 3)中国大連国家生態工業モデル園をモデルとした安全安心な静脈システムの検討について、現地のニーズを把握することが重要であり、大連のみではなく、中国全国の静脈関係者へヒアリング調査を行った。その結果を受け、中国において効率的な安全安心システムの導入、意識高めるために広範囲への普及効果を考慮し、クラウド型の安全安心システムの構想を立てた。また現地クラウドシステムの構築に関して、中国科学院の協力を得ながら研究を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策についてを研究項目ごとに述べる。 1)国際資源循環システムの環境負荷・経済性の実効性評価手法の高度化について、アンケート法およびテキストマイニング手法の高度化を図りつつ、これ以外の手法の検討を行う。本研究項目は文献調査と分析を中心に行っていく。 2)中国大連国家生態工業モデル園を拠点とした国際資源循環システムの検討について、企業の観点から海外進出あるいは国際資源循環に携わる新たなビジネスモデルの構築に関する研究であり、企業と一体化した研究体制が必要である。これについては当方が大連国家生態工業モデル園、株式会社松本光春商店、株式会社扇谷と連携体制を構築できており、共同研究を進めている。今後はもっと連携を強化し、中国オンサイトで企業の動きを観察し、その考え方を理解しながら、第三者の視点で国際資源循環システムのモデルの研究を進めていく。 3)中国大連国家生態工業モデル園をモデルとした安全安心な静脈システムの検討について、中国では静脈施設における安全安心対応策の検討自体が斬新な考え方であり、新規性のある研究データである。一方で、民間企業におけるその考え方の受入が第一の課題である。これについては、現地関係者と共同で対策を検討していく。また安全安心システムの普及や構築に向けたコンセプトの確立が必要であり、現地企業と連携し、企業の視点に立ったシステムの概念作りを行っていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究は企業と連携して共同で進める研究であり、研究目的を達成させるためには企業の視点や考え方を理解する必要がある。そこで、次年度の経費は企業と連携を図るために、現場での打ち合わせや協議等に発生する日本国内および海外出張の旅費が中心となる。 本研究は旅費を中心となり、その計画を以下に述べる。 まず次年度は中国現地企業と連携するための出張がある。中国大連、広州、上海をはじめとする関係都市の企業への出張が10回ほど発生する。次に、日本国内においては、株式会社エコクリーン(RPF製造業者、工場は福井)、株式会社松本光春商店(本社高松)をはじめ、関係企業への出張が数回想定される。そして、海外国際会議および国内の学会への論文発表するための旅費が計画されている。
|