研究課題/領域番号 |
25870822
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
石川 涼子 立命館大学, 国際教育推進機構, 准教授 (20409717)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 多文化主義 |
研究概要 |
平成25 年度は、(1)多文化主義の政治理論における市民の共同性創出に関する文献の検討を通じて「合理的配 慮」との相違を考察し、(2)「合理的配慮」についてのケベック州で行われた委員会について考察を進めた。 まず(1)については、ムスリム系を含む新しい移民がもたらす文化摩擦に関して論じている文献を収集し、その内容を検討した。カナダのケベコワのような言語文化集団についてはすでに現代政治理論領域に置いて一定の研究蓄積があり、申請者も研究を積み重ねてきた。これを踏まえて、改めて移民統合政策としての多文化主義政策を再検討した。その上で、「合理的配慮」アプローチの理念特徴を考察した。 次に(2)については、カナダ・ケベック州における「合理的配慮」についての委員会に関して、報道や学術文献を調査し、文化的多数派および少数派の市民がそれぞれ「合理的配慮」という措置をどのように受け止めたかを考察した。 なお、当初はカナダに渡航して調査および現地研究者・専門家との意見交換を行う予定であったが、延期した。これは、異動直後で本務業務による海外出張や正課外の講義等がいつどのように発生するか把握しきれておらず、長期渡航の計画をたてることが困難だったためである。 また、これまで行ってきた申請者の研究を踏まえて、多文化主義について政治理論における「合理的配慮」の位置づけに関する研究報告をイスラエルのカナダ学会で発表予定であったが、本務業務との兼ね合いにより欠席した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年4月に新しい職を得、その直後に本研究費の受給を開始したが、本務業務は海外出張や正課外の講義等イレギュラーな業務が多く、いつどのような業務が発生するか把握しきれずにいたため、カナダへの研究出張や、予定していた海外学会の欠席につながった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は本務校への勤務も二年目となり、業務の全体像についての把握が進んだため、研究時間および研究出張のための時間を確保することを心がけている。本年度は(1)カナダへの渡航調査および(2)海外学会報告を行う予定である。(1)については、合理的配慮についての現地報道と先行研究の収集と考察を行い、現地の専門家との意見交換を行う。(2)については、平成25年度までの研究をもとに英語圏の学会で報告を行う予定で準備を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年4月に現職に着任したが、業務に関連した海外出張や正課外の講義等がイレギュラーに入り、本務業務の全体像が把握しきれていず、カナダへの研究出張および当初予定していたイスラエルでの学会発表をとりやめたためである。 本年度は平成25年度と26年度に予定していたカナダへの研究渡航を合わせて行い、合理的配慮についての現地住民の反応を多数派および少数派の両方から考察するとともに、現地専門家との意見交換を行う。また、平成25年度に進めた研究をもとに英語圏で海外学会報告を行う予定である。平成26年度に予定していた他国の多文化主義、移民統合政策との比較研究に着手する。合理的配慮については欧州委員会で平成25年度に報告書が出版されており、ヨーロッパにおける合理的配慮概念の受容について研究を進める。
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