研究課題/領域番号 |
25870822
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
石川 涼子 立命館大学, 国際教育推進機構, 准教授 (20409717)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多文化主義 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、(1)前年度の文献調査を踏まえて、多文化主義の実践と移民統合に関する政治理論研究の比較考察を行い、(2)多文化主義の合理的配慮アプローチの独自性について、他国との比較検討を進めた。 (1)については特に多文化主義を採用する国家における政府の中立性について検討し、論文「芸術文化政策をめぐる政府の中立性の考察」を発表した。この論文では、芸術文化支援についての経済的アプローチと卓越主義的アプローチを概観した上で、芸術文化の多様性の保護と政府の中立性の確保という二つの要請をいかにして調整し、両立させるかが課題であることを示した。 また、従来の多文化主義的なアプローチと、ブシャール・テイラー委員会報告書における合理的配慮アプローチの相違の明確化する作業も進めた。これについては平成27年春に学会報告を行う予定である。 (2)についてはトロント大学において最新の資料収集・調査を行った。ブシャール・テイラー委員会報告書における合理的配慮アプローチについて、ヨーロッパからも関心が集まっていることがわかり、次年度にはヨーロッパにおける反応についても検討する予定である。また、北海道教育大学函館校のカナダ研究者である古地順一郎講師、高木康一准教授と本課題について検討・意見交換を行い、政治と法律の両側面から合理的配慮アプローチの独自性・問題点について考察を深める事ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年4月に異動し、新しい職に就いた直後から本課題の研究を開始したが、本務業務は海外出張や正課外の講義等イレギュラーな業務が多く、またいつどのような業務が発生するか把握しきれずにいたため、1年目は研究の予定を立てることが難しく、研究出張等の予定していた研究に従事することが極めて困難だったため、遅れが生じた。平成26年度は2年目に入り本務の全体像がかなり把握できたため、研究を進めることができたが、1年目の遅れを全面的に取り戻すまでには至っていない。そのため、やや遅れているのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は本務校での在職が三年目となり、比較的研究時間の確保が可能となる見込みである。本年度は最終年度であるため、1年目の遅れを取り戻すとともに、研究成果の発表のために最大限の努力をする。そのために、本年5月には国際学会での報告を予定しており、また本年度中に別の国際学会での研究報告やおよび論文掲載等の成果を上げることを目指して準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年4月に異動して現職に就いたが、正課外のイレギュラーな業務が多く、研究時間の確保が困難であり研究を進めることが難しかった。平成26年度はできるだけ研究を進めたが、遅れをすべて取り戻すには至らなかった。また、旅費の支出が予定よりも少なかったのは、校務で出張したアメリカからカナダへの研究出張を行ったためである。日本からアメリカへの往復分については本務校負担となったため、本研究費からの支出はせずに研究出張ができた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は最終年度であるため、研究成果の発表をできるだけ行う予定である。現時点では春に東京で行われる国際学会で報告を予定している。この他に、カナダでの資料収集や専門家との意見交換を行ったうえで、論文作成を進める。本研究費は主に論文執筆用資料の購入、カナダ研究出張の費用、国内研究出張の費用、国際学会出張費用として使用する予定である。
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