今日、日本でも障碍者が直面する差別的待遇を改善するために合理的配慮という考え方が用いられるようになったが、カナダではこの考え方を文化的差異から生じる差別の是正のために用いる場合がある。本研究では、カナダのケベック州での施策を取り上げ、とりわけ文化的な少数派に属する女性の自由の実現はいかにして可能かという問題に注目して、合理的配慮を通じた異文化間コンフリクトへの対処の有効性を考察した。本研究を通じて、熟議にを通じた文化間コンフリクトへの対処が一定の有効性を持つことがわかったが、同時に女性の自立・自己決定を普遍的に捉えることによって生じる困難が問題点として浮上した。
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