研究課題/領域番号 |
25870824
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
松山 洋一 早稲田大学, グリーン・コンピューティング・システム研究機構, 次席研究員 (90584467)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 音声対話システム / ヒューマン・ロボット・インタラクション |
研究概要 |
多人数が参加する会話に自然に参加し,その場を活性化させ自己目的的に会話が楽しまれている状況を創る手助けをするロボットシステムの開発を行っている.特に発話機会を思うように与えられない「置いてけぼり」状態になっておいる参加者を救いながら「最大多数の最大参加」を促す活性化戦略を有するロボットの開発を行うことを目的としている. 平成25年度は,研究課題として挙げた(1)高精度な参与役割推定,(2)会話活性化を目的とした質問応答,(3)会話活性化を目的とした自発的質問,(4)トピック推定,(5)トピック興味度判定のモデル化,実装・実験を達成した上で,課題(2)と(3)についてモデルの高度化を図った. (2)については,ロボット自身の表現豊かな意見文を自動生成するため,Web上の大量のレビュー記事から意見を抽出し,意外性の基準などから発話文候補をランキングするようなアルゴリズムを提案した.さらに被験者実験を通して,自動生成された文の文法的受容度の確認や,そのような表現豊かな意見文が会話の楽しさなどに如何に寄与するかなどについて確認した. (3)については,会話を制御するための主導権の奪取手続きについて検討した.具体的には,「置いてけぼり」状態の参加者(以下,ターゲット)が検出された際に,現在主導的に進行している会話にロボットが一度積極的に参加し段階的に主導権を奪取し,その上でロボットが自らターゲットにアプローチしていくという,多段の手続きを発動させる.この一連の手続きを強化学習(部分観測マルコフ決定過程:POMDP)の枠組みでモデル化し,被験者実験およびシミュレーション実験を通して,手続きを用いることの有用性とPOMDP手法の有利性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度の研究課題として挙げた課題は,大きく分けて(1)高精度な参与役割推定,(2)会話活性化を目的とした質問応答,(3)会話活性化を目的とした自発的質問,(4)トピック推定,(5)トピック興味度判定のモデル化であった.これらはすべて実装・実験が完了し,十分に動作する会話ロボットシステムを構築済である.その上で,課題(2)と(3)についてモデルの高度化を図っており,当初の計画以上に進展していると言える.なお,(2)についてはIEEE/ACM Transaction on Transactions on Audio, Speech ,and Language Processingに掲載が決定しており,(3)の成果についても現在論文誌に投稿中である.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,前年で完成したシステムをより高精度なものにし,かつ広範な話題について自由に会話を行えるようにする.質問応答については,より深い文章・談話理解の枠組みについて検討する.多人数会話状況の制御については,参加者のパーソナリティやシステムとの関係性(親密な関係を構築できているか否か,等),多人数の参加者の組み合わせ(初対面の組み合わせ,年齢差のある組み合わせ,等)に応じて発話のタイミングや頻度,内容を適応的に変化させていく学習の枠組みについて検討していく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
交付額範囲内で予定通り物品費,旅費,謝礼等の支払がほぼ予定どおり完了したが,納品時期の都合上,当初購入予定の消耗品購入を見送ったため. 次年度使用額6,689円は,研究遂行に懸る消耗品費として充当する.
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