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2013 年度 実施状況報告書

明治期の初等修身教科書に採用された寓話・童話・昔話のエートス分析的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25870826
研究種目

若手研究(B)

研究機関早稲田大学

研究代表者

坂本 麻裕子  早稲田大学, オープン教育センター, 助手 (40648317)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード口承文芸 / 修身教育 / グリム童話 / ヘルバルト学派 / 樋口勘次郎
研究概要

【研究目的:何を解明しようとしたのか】
申請者は本研究において、政府が導入したヘルバルト派教育学の影響を受けた樋口勘次郎の『修身童話』(明治31~34年)を重視している。そこで①樋口勘次郎の口承文芸の修身教育利用に対する主張、②ヘルバルト学派に対する教育界及び現場の教師/生徒/親等の反応を多方面から明らかにすることを試みた。
【研究方法:どのような方法で研究を進めたか】
具体的には1)東書文庫の調査は平成26年度にまとめて行うこととし、各大学図書館の所蔵目録から国定教科書以前(明治初年~36 年)の小学校修身教科書の確認、グリム童話の掲載の有無を調査した。2)当時の社会的な背景が窺える資料の収集。3)修身教育イデオロギーのエートスを補強するため、修身教科書や修身教育をめぐる教育学者の言説を再考する作業を行った。1)~3)は、現在も引き続き資料収集と分析を行っている。4)同時に、樋口勘次郎の言説を調査した。
【研究成果:成果としてどのようなことが明らかになったのか】
①については樋口と森岡常蔵の議論「童話問題」(『近時に於ける教育問題の研究』 明治42年)をめぐる調査によって、樋口の口承文芸の修身教育利用に対する主張の変化が明らかになった。樋口は『修身童話』時点ではヘルバルト派の受容を背景に日本昔噺の教育的価値と教材化を主張していた。またグリム童話は日本の修身的教訓で解釈できず、あくまでヘルバルト派の例として紹介するに留まっていた。しかし、明治37年以降、樋口はグリム童話に「外国の物語が持つ内容的豊かさ」を求めるようになる。さらには自らが推進してきた日本昔噺の単調さを補うためにグリム童話を日本化しようとしたことが明らかになった。以上、樋口のグリム童話に対する姿勢に大きな変化が見られ、主張も変容していたことが解った。②については『教育報知』『教育時報』等の整理を行っている最中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度は東書文庫の調査が、東書文庫の休館や大学助手としての仕事等といった予定外の状況によって、一部スムーズに進まなかった。この点は次年度への課題である。

今後の研究の推進方策

平成25年度は東書文庫の調査が、東書文庫の休館や大学助手としての仕事等といった予定外の状況によって、一部スムーズに進まなかった。したがって、平成26年度は東書文庫での調査を優先させ、重点的に進めたい。また調査予定の組み方にも工夫をしたい。さらには遠方の図書館調査も視野に含め調査範囲を拡大し、積極的に資料収集に取り組む予定である。

次年度の研究費の使用計画

理由は、以下の2点である。1)大学図書館の資料や大学図書館間の資料取り寄せ、電子データベースでの調査が予想以上に進んだことで、調査費や複写費等の経費が浮いた。2)平成25年度は東書文庫の調査が、東書文庫の休館や大学助手としての仕事等といった予定外の状況によって、スムーズに進まなかった。そのため、東書文庫などへの調査経費が次年度へ繰り越した。
したがって、平成26年度は東書文庫での調査を優先させ、重点的に進めたい。また調査予定の組み方にも工夫をしたい。さらには遠方の図書館調査も視野に含め調査範囲を拡大し、積極的に資料収集に取り組む予定である。
平成26年度は、修身教育素材としての西洋寓話・イソップ寓話に関する調査及び分析を行う。具体的には東書文庫の調査を重点的に据え実施する。1)東書文庫の調査を行う(費目明細「その他」)。2)東京学芸大学の附属図書館、国会図書館だけでなく遠方の図書館の調査も視野に入れる(費目明細「国内旅費」)。3)学会発表を行う(費目明細「国内旅費」)。4)平成25年度に作成した各図書館の小学校修身教科書の所蔵一覧を基に、各図書館へ足を運んで修身教科書の目次と内容を確認する(費目明細「その他」)。5)内容調査によって修身教育素材として利用されているイソップ寓話年表を作成する。6)文部省が付けた朱書きや付箋の調査を行う。7)以上の方法で収集した資料を基に、エートスに注目するテキスト分析を行う。8)同時に社会的な背景が窺える資料との比較及び考察も行う。9)研究成果を国内の学会で発表し投稿する(費目明細「国内旅費」)。

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公開日: 2015-05-28  

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