| 研究実績の概要 |
本研究では、今日のアメリカにおける学校保健施策の主流(mainstream)とも目されている「学校拠点型保健センター」(school-based health center, 以下SBHC)について、(1)その歴史的発展過程と(2)現在の施策・取り組みの実態に関する分析から、その我が国への示唆を検討した。 (1)については、とりわけ1990年代以降から現在にかけて、SBHCが全米的な広がりを見せたことの主たる背景要因が、貧困層の子どもの保健的・医療的ニーズ保障にあったことを明らかにした。その上で、子どもの貧困問題に今日直面している我が国においても、今後こうした子どもの保健的・医療的ニーズ保障が重要な政策課題となり得ることを指摘した。 (2)に関しては、特に積極的なSBHC施策が展開されているカリフォルニア州アラメダ郡を主な研究対象地域とし、SBHC実務家や州の連盟組織職員、郡の行政担当者等へのインタビュー調査及び施設参観を実施した。その結果としては、SBHCの諸サービス提供に係るコスト面等の課題から、こうした「SBHCモデル」による学校保健機能の強化・拡充施策そのものを、ストレートに我が国に導入することは極めて困難との結論に至ったものの、SBHCで提供されているメンタルヘルスの諸プログラムや、学校の教職員と保健医療機関職員(SBHC職員等)との情報連携システムとして2000年代以降アラメダ郡で構築・導入されている「サービス調整チーム」(coordination of services team, COST)など、「SBHCモデル」の限定的導入の可能性については今後十分に検討すべきであることを指摘し、本研究のまとめとした。
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