本研究は、日本人高齢者(患者および要介護者)の国際移動に伴うケアの越境化を、マレーシア、タイ、フィリピンの事例から分析した。日本に比べて物価や気候面で利点のある海外に日本人高齢者が長期滞在・居住するライフスタイルの普及によって生じた、高齢者のケアを担う人々を移住先で必要とする側面、つまり「労働力を必要とする」人の国際移動であることに焦点を当て、医療や介護サービスを求める患者・消費者の越境化が、「若い」労働力が豊富であると同時に今後高齢化が進展する現地における高齢者医療や介護の産業化を促進することが明らかとなった。
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