研究課題/領域番号 |
25870835
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
石橋 仁美 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (30583900)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 化粧 / 作業療法 / 社会参加支援 / 精神障害 / 人間作業モデル / QOL |
研究概要 |
精神障害者の生活障害のひとつに、頭髪の乱れや不適切に派手な化粧の施しといった身だしなみの問題がある。我々は、平成24年に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の精神科病院やクリニック等256施設に所属する精神科作業療法士(各施設1名)に対して、「化粧を用いた作業療法と作業療法対象者の化粧状況」に関するアンケート調査を実施した。その結果、88%の作業療法士が「化粧に問題のある対象者がいる」と答え、76%の作業療法士が「精神科作業療法で化粧の支援が必要である」と答えた(Ishibashi,et al,2013)。 我々は、地域で生活する精神障害者を対象として、化粧を施すだけではなく生活に焦点を当てた学習会を取り入れ化粧プログラムを実施した結果、対象者の肯定的な心理的変化以外にも意欲的な外出行動が認められた。しかしながら、この変化の多くはプログラム当日に限られており、対象者のQOL向上を目的として化粧行動の習慣化を目指すプログラム開発が課題であった。 カネボウ化粧品の技術協力のもと、新たに改良した「生活と化粧を関連付けた社会参加支援プログラム:Supporting Social Participation through a Cosmetic program(SSPC)」を女性だけではなく男性の作業療法士も運営し、平成25年度にはSSPC運営上の問題点や改良点を抽出した。対象者の化粧行動の習慣化が行えるような内容であることを前提に、作業療法士の性別を問わずに運営できるSSPCの実施マニュアルを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、平成25年度にプログラム開発のための運用を、平成26年度にその効果と信頼性の検証を行う予定であった。しかし、平成24年に行った作業療法士へのアンケート調査の結果から、多くの作業療法士が化粧の支援は必要であるが、その運営に難しさを感じていた。そのため、平成25年度の計画を大幅に軌道修正し、性別に関係なくあらゆる作業療法士が運営できるプログラムマニュアルを作成した。平成26年度は、当初の計画通り、プログラムの効果と信頼性の検証を行うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年に行った作業療法士へのアンケート調査の結果から、多くの作業療法士が化粧の支援が必要であると感じているものの、その支援を実施しているあるいは実施したことのある作業療法士は約半数であった。またその支援方法は様々であった。SSPCの効果を十分に発揮するには、SSPCを運営する作業療法士がその方法を熟知し、対象者のあらゆる行動に対しても対応できる必要がある。 そのため、平成26年度に実施する介入研究では、研究協力者の作業療法士に対してSSPC伝達講習を十分行うとともに、研究協力者が感じる運営上の問題点の更なる抽出が重要になってくる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定では、平成25年度にプログラム開発のための試験的運用を実施する予定であった。しかしながら、今後の研究の推進方策でも述べたように、まずはSSPCの実施マニュアルを作成する必要があった。そのため平成25年度はSSPC実施マニュアルの作成を中心に行い、その後研究協力施設の募集を行ったため次年度使用額が発生した。 次年度(平成26年度)には当初の計画通り、SSPCの効果と信頼性の検証を行う。その際、研究協力者(作業療法士)に対するSSPC伝達講習会を2日間に渡って開催する。さらに、介入研究中にも各施設へ研究者が頻回に訪問し、研究協力者からの疑問の解決に努める。そのため、伝達講習会の開催費用、その協力費用、研究協力施設への訪問での交通費に使用する。
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