平成29年度は、平成28年度に引き続き、地域在住の高齢女性(65歳以上85歳未満で要介護認定を受けていない女性)を対象としたクロスオーバー試験を実施した。対象者は東京都4箇所で募集し、ランダム化の際は各地区を層としてA群とB群に割り付け、介入群を「SSPC(SSPC: Supporting Social Participation through a Cosmetic program)を実施する群」、対照群を「ものづくりを実施する群」としてクロスオーバー試験を4箇所の会場で行った。SSPCは、学習会、化粧の実践、対象者が希望する課題の実践で構成されている。ものづくりは、作業療法で用いられる紙細工やマクラメなどを行い、日常生活でも行えるように資料を提示して、容易に満足できる仕上がりになるコツなどを指導した。両群とも4ヶ月間で8回のセッションを行った。評価には、基本情報、MMSE、OSA-Ⅱ、WHOQOL26を使用した。結果は現在分析中である。 さらに、試験終了後に対象者へ各プログラムの感想や日常生活への影響についてインタビュー調査を行った。結果は現在分析中である。 研究期間全体を通じて、まずは性別に関係なくあらゆる作業療法士が運営できるように、運営上の問題点や改善点を抽出した。その後SSPCの実施マニュアルを作成した。研究協力者の作業療法士に2日間のSSPC伝達講習会に参加してもらい、地域在住の精神障害を有する女性に対してプログラムを運営してもらった。当初最終介入試験対象を「精神障害を有する方」としていたが、興味のある作業療法士は多いものの倫理的理由から研究協力施設が少なく、また対象者から参加後の詳細な意見・感想をインタビューによって調査する必要があったため、対象を精神障害を有する方と限定せず、地域在住の高齢女性としてクロスオーバー試験を実施した。
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