本研究は、がん細胞に対する造影剤の新しい構造モジュールを創製することを目的として実施した。まず、集積特性をもつコラーゲンペプチドと近赤外(NIR)領域の光に応答する色素を組み込んだ分子をデザインし、合成した。続いて、得られた分子の集積特性とNIR領域における蛍光特性を明らかにした。最後に、この分子をグリオーマ(ヒト神経膠芽腫由来細胞)に反応させた後にNIRを照射すると、コラーゲンを被覆した細胞が選択的に破壊されることを確認できた。この細胞毒性は、細胞周囲に集積していた分子がNIRを受けて引き起こしたものであったことから、新しい構造モジュールの可能性を示すことができた。
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