本研究で使用するキッズサイズ人型ロボットとして,株式会社アールティから販売されているキッズサイズ二足歩行ロボット「RIC-90」を購入し,各種センサおよび自律制御用PCを搭載することで自律行動できるように改良を施した。これにより,本研究の目的である,ニューラルネットワークを全高が子供程度の人型ロボットのコントローラとして使用することで,芝生や砂地など様々な地面でも転倒しない行動制御法の考案および実機での検証が可能となった。 人型ロボットのコントローラとして使用するニューラルネットワークの考案については,まず,車輪型自律移動ロボットのコントローラとしてパルスニューラルネットワークを使用した場合の車輪のスリップやセンサノイズなどの外乱に対する頑健性を実機実験で調査した。その結果,パルスニューラルネットワークは外乱に対する頑健性が非常に低いことが明らかとなった。このままでは人型ロボットの歩行時の姿勢制御には使用できないことから,引き続き,車輪型自律移動ロボットを用いて外乱に強いパルスニューラルネットワークのモデルを検討している。今後は,外乱に強いパルスニューラルネットワークのモデルを考案した後,そのモデルを人型ロボットのコントローラとして使用し,様々な地面でも転倒しない行動制御法を研究する。 また,キッズサイズではないが,以前から研究している小型(全高35cm)の人型ロボットを用いて,遺伝的アルゴリズムとニューラルネットワークにより,歩行時の転倒回避動作をリアルタイムに補正するとともに,適切なタイミングで適切な動作を行う行動ルールを強化学習で構築する手法を改良した。検証実験の結果,従来よりも転倒回避行動の成功率が向上した。今後は本手法をキッズサイズ人型ロボットに適用する。
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