研究課題
最近の研究によりBDNFはうつ病をはじめとする精神疾患の病態に関与していることがわかり、BDNFの発現は抗うつ薬のdown stream targetであるといわれてきている。申請者は、神経保護作用を有するBDNFと抗うつ薬の中でも特にσ1受容体アゴニストとして神経保護作用をもつといわれているフルボキサミン(FLV)に注目し、これらにより細胞内伝達系の調節作用のあるAktとの関連性を検討し、BDNFは、TrkB(p75NTR)/ PI3K/Akt-1系を介してAkt-1をリン酸し、FLVはシグマ1受容体を介してPLC-γ/ IP3/Ca2+/Akt-1系を介してAkt-1をリン酸することを解明し報告した。今後、Aktを過剰発現した神経細胞とsiRNAベクターをマウス海馬神経培養細胞へトランスフェクションしAktの発現を抑制したAktノックダウン神経細胞を用い、DNAマイクロアレイ解析法を予定している。さらに、Aktを活性化しリン酸化される転写因子をプロテオミクス的手法、DNAマイクロアレー解析法を用い網羅的に同定する。抗うつ薬投与後に変化する転写因子を同定し、抗うつ薬により活性化される転写因子のノックダウントランスジェニックマウスを作成し、強制水泳、慢性変動性ストレスなどの行動観察し、抗うつ薬作用と転写因子の個体レベルでの相関を検討し、うつ病の発生メカニズムを解明する。
3: やや遅れている
マウス海馬神経培養細へc-DNA Aktをトランスフェクションする。これによりAktを過剰発現した神経細胞を作成でした。さらにsiRNAベクターをマウス海馬神経培養細胞へトランスフェクションしAktの発現を抑制したAktノックダウン神経細胞を作成した。今後、解析を予定している。
Aktを過剰発現した神経細胞とsiRNAベクターをマウス海馬神経培養細胞へトランスフェクションしAktの発現を抑制したAktノックダウン神経細胞を用い、DNAマイクロアレイ解析法を予定している。Aktを活性化しリン酸化される転写因子をプロテオミクス的手法、DNAマイクロアレイ解析法を用い網羅的に同定する。またAktをsiRNAを用いノックダウンさせて細胞内での転写因子の変化をルシフェラーゼアッセイにて測定し、この実験系に抗うつ薬を細胞に投与し、抗うつ薬がAktによって変化する転写因子への作用を如何に調節するかを検討する。
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臨床精神医学
巻: 42(6) ページ: 773-778