研究課題
若手研究(B)
形質細胞様樹状細胞(pDC)は,エンドソームに局在するToll-like receptor(TLR)9で細菌やウイルス由来の非メチル化CpG-DNAをリガンドとして認識し,多量のI型インターフェロン(IFN)産生を行う免疫細胞である.pDCによるI型IFN産生機構は,ウイルス感染防御において重要な役割を果たす一方,その機構の詳細は未だ不明な点が多い.我々はDCやマクロファージ,好中球のエフェクター機能を抑制する抑制型受容体であるPIR-Bの欠損マウスの解析から,PIR-B欠損によってpDCでのCpG-DNA刺激によるIFN-α産生が亢進することを見いだした.そこで,PIR-B欠損マウス由来のpDCで発現変動している遺伝子には,pDCにおけるI型IFN産生制御に関わるものが多数含まれると予想し,DNAマイクロアレイ解析を行った.結果,PIR-B欠損マウスpDCにて発現量が変動している約50種の遺伝子を見出した.本研究では,DNAマイクロアレイ解析より見出した,PIR-B欠損pDCで発現量が変動している遺伝子の機能解析を通して,免疫細胞におけるサイトカイン産生機構の解明を目指した.まず,DNAマイクロアレイで発現量が変動しているとされる遺伝子に関してqPCRを行い,いくつかの遺伝子に関して実際に発現量が変動している事を確認した.そこで,qPCRにて発現変動が確認された遺伝子のうち,免疫細胞における機能が未知であるSortilinの機能解析に着手した.まず,SPR解析による物理学的相互作用解析の実験系を構築し,NGF-βとIFN-γに関してSortilinとの相互作用を確認した.細胞レベルにおけるSortilinの機能解析では,マウス骨髄より誘導したpDCでsiRNAによるノックダウンを行い,サイトカイン産生への影響を検討した.並行して,次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析による,新規遺伝子の同定も試み,DNAマイクロアレイ解析と同様の結果を得られたと同時に,新たに発現変動をしている遺伝子も確認された.
2: おおむね順調に進展している
研究開始当初は実験条件の検討に少し時間を要したが,概ね順調に研究は進展している.
概ね順調に研究は進展しているので,次年度は特にSortilinの機能制御に関する解析とin vitroでの解析により力点をおいて,研究を遂行する予定である.また,Sortilinの機能解析に加え,トランスクリプトーム解析によって得られた新規の遺伝子に関する機能解析や,マクロファージ等の他の細胞種での機能解析にも着手する.
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
J. Biol. Chem.
巻: 288 ページ: 17791-17802
10.1074/jbc.M113.460253