研究課題/領域番号 |
25870853
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
谷口 真 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (30529433)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スフィンゴミエリン / 脂質ラフト / スフィンゴミエリン合成酵素 / 日本脳炎ウイルス / ウイルス接着 / ウイルス感染 |
研究実績の概要 |
スフィンゴミエリン(SM)は細胞脂質二重膜の脂質ラフトを構成する主要スフィンゴ脂質であり,増殖や遊走,ウイルス感染などの細胞機能に関与している。細胞膜SMはゴルジ体でSM合成酵素(SMS)により合成され,その後細胞膜へと運ばれる。他方,フラビウイルス属である日本脳炎ウイルス(JEV)は神経細胞へ接着・感染し,日本脳炎を引き起こすが,その標的細胞への接着・感染のターゲット因子は分かっていない。前年度までにSMS1が合成するSMが,JEVの接着・感染に重要であることをSMS欠損マウス胎児繊維芽細胞を用いて示したが,本年度は,SMS1欠損マウスにおける個体レベルでのJEV感染を検証した。 まずはじめにマウスの脳内のSM量をLC-MSにより測定したところ,SMS1欠損マウスでは,野生型マウスにくらべて脳内のSM量が顕著に減少していた。野生型マウスおよびSMS1欠損マウスへ腹腔内投与によりJEV感染を行ったところ,投与後13日までで,野生型マウスでは明らかな体重減少が見られたが,SMS1欠損マウスでは見られなかった。この感染13日後の脳内のJEVを調べたところ,野生型マウスでは脳においてJEVエンベロープ蛋白が確認されたが,SMS1欠損マウスでは検出されなかった。また,野生型マウスの脳では髄膜炎や白血球の浸潤などの炎症症状が見られ,炎症性サイトカインIL-6の上昇も見られたが,SMS1欠損マウスではこれらの所見は得られなかった。以上の結果から,SMS1欠損マウスにおいてはJEV感染およびその後の炎症が抑制されており,個体のレベルにおいてもSMS1が合成するSMがJEVの標的細胞への接着・感染に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,SMS1欠損マウスをもちいた個体レベルにおいても,JEVの感染にはSMS1およびSMが重要であることを示した。これらの成果は2nd International Workshop on Melecular Medicine of Sphingolipidsや日本ウイルス学会等で発表した。また,マウス個体におけるJEV感染実験も行えたので,3年目が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では,細胞膜SMのJEV接着・感染への機能に着目し,JEV接着・感染の分子メカニズム解明を目指す。本年度はマウスを用いた個体レベルでの実験を行った。これらの結果をさらに発展させるために,次年度は,実際に日本脳炎に重要である神経細胞においてもSMおよびSMSのJEV接着・感染への役割を明らかにしたい。
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