研究課題/領域番号 |
25870854
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
山本 亮 金沢医科大学, 医学部, 助教 (30447974)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 扁桃体 / CRF / GABAニューロン |
研究概要 |
扁桃体外側核(LA)・外側基底核(BLA)は情報を統合し恐怖学習を行う場である。LA/BLAにおけるGABA伝達が阻害されると不安行動やうつ症状をひき起こす事が知られており、恐怖不安行動の調節にはLA/BLAにおけるGABA伝達の適切な活動が必須である。また、ストレス時にはコルチコトロピン放出因子(CRF)が脳内の各部位に作用する。なかでも扁桃体はCRFの脳重要な作用部位とみなされており、扁桃体のCRF受容体が刺激されると不安行動が顕れることが知られている。本研究の目的は、「慢性的ストレスによって脳内で増加するCRFが扁桃体外側核・外側基底核(LA/BLA)でのGABA伝達を阻害している」、という仮説を検証するである。本年度は、扁桃体外側核(LA)の興奮性ニューロンよりホールセルパッチクランプ電気記録を行い、CRFがLA興奮性ニューロンの電気特性をどのように調節するかを解析した。まず、CRFを実際に投与して電気特性の変化を観察したところ、静止膜電位が脱分極方向にシフトした。また電流注入後には遅いスパイク後過分極も観察された。CRF受容体のアゴニストであるUrocortinでも同様の作用が観察された。この結果は申請者が以前報告した、ドパミンやセロトニン投与でLA興奮性ニューロンに生じる変化と同様であった。しかし、ドパミンやセロトニンで生じる静止膜電位の脱分極側へのシフトは膜抵抗の増加を伴っていたが、CRF・Urocortinで生じる静止膜電位の脱分極側へのシフトでは膜抵抗は減少していた。この違いを明確にするために、セロトニンによる脱分極の機構の詳細を解析した。その結果、セロトニンはセロトニン2C型受容体を介して、GIRK電流の阻害とTRPC電流の活性化を同時に行なう事で脱分極を誘起している事が明らかになった。この結果をふまえ、CRF受容体活性化による脱分極機構の詳細を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究ではVGAT-Venusラットを用いて扁桃体外側核・外側基底核のVenus陽性の抑制性GABAニューロンから電気記録を行なう予定であったが、遺伝子改変ラットの導入に当初の予定よりも時間が掛かり、繁殖が十分進まなかったため、VGAT-Venusラットからの電気記録は未だ行なえていない。本年度はナイーブのWistarラットを用いて興奮性ニューロンへのCRFの作用を電気生理学的に検証した結果、以前に発表したセロトニン作動性調節との関連が推察された。そのため、研究計画書に記載した実験に加えて他の実験も行ったが、このことも研究の進捗が遅れる要因となった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度より、VGAT-Venusラットを安定的に繁殖できる事が期待されるため、扁桃体のVenus陽性GABAニューロンから当初の予定通り、電気記録を行なう。また、行動実験の経験が豊富なスタッフと連携して、遅れを取り戻す。
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