研究課題
歯周病は生活習慣病で、平成23年歯科疾患実態調査によると、国民の8割以上に歯周病所見が認められると報告されている。一方、2011年国民健康栄養調査では、成人喫煙率は男性32.4%、女性9.7%、全体20.1%で、2003年以降、男女とも減少傾向にあるが、諸外国と比べると高い状況にある。喫煙者の歯周病罹患率は、非喫煙者に比べ約2~9倍高いことや、禁煙することにより歯周病に対するリスクが軽減することが報告されている。しかし、喫煙者の中に著しい歯周組織の破壊を伴う患者がいる一方で、喫煙者であっても歯周炎が軽度、もしくは発症しない者もいる。タバコの主な有害成分であるニコチンの代謝物にはニコチンのような薬理作用がないため、個人のニコチン代謝能の優劣が、喫煙者における歯周炎の発症や進行のしやすさに関連があるのではないかと考えた。そこで、喫煙歴を有する歯周炎患者群と歯周組織健常者群において、ニコチン代謝能との関連性が示唆されているCYP2A6遺伝子多型解析を行い、両群間の遺伝的なニコチン代謝能の差異を検討することで、歯周炎の宿主因子としてのニコチン代謝能の優劣の関与を明らかにすることを目的とした。最終年度は、研究実施計画にある通り、同意を得た研究被験者からのゲノムDNAのサンプリングを継続実施した。その結果、喫煙歯周炎群93名(現在歯数24.8本、PD 3.63mm、AL 4.38mm、プロービング時の歯肉出血38.7%、ブリンクマン指数655.1)、喫煙対照群39名(PD 2.05mm、AL 2.27mm)となった。またこれまでに解析を行っていた歯周炎患者とインターロイキン1受容体遺伝子との関連性について、ロジスティック回帰分析を用い、喫煙歴を調整したアリル頻度解析を実施したところ、特定のアリルに関し、統計学的に有意な結果が得られた。
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