近年、骨代謝に関する交感神経の関与が、注目を集めている。骨芽細胞および破骨細胞には、β2アドレナリン受容体(β2-AR)が発現している。本研究では、交感神経が亢進している自然発症高血圧ラット(SHR)において、歯の移動に対するβ2-AR遮断薬(ブトキサミン(BUT))の効果を調べた。 SHRはウィスター京都ラット(WKY)と比較して歯の移動距離が増加し、BUT投与により減少が認められ、WKY群とSHR BUT投与群の間に有意差は認められなかった。また、BUT投与は、歯槽骨損失の回復に帰着した。これらの結果は、交感神経が歯の移動に関与し、BUTが歯の移動による歯槽骨の減少を抑制することを示唆する。
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