研究課題
動脈硬化症は、狭心症、心筋梗塞および脳梗塞など心血管系疾患の危険因子であり、生活習慣と強く結びついていることはよく知られている。近年の研究では、動脈硬化は幼少期より始まり、成人と同様に運動不足や過食などの生活習慣の悪化により、動脈硬化が進展することが明らかにされている。近年、質量分析法を用いた脂質メタボロームの包括的解析により、正常あるいは疾患モデル動物のサンプルプロファイルを解析し、病態生理に関する因子を見つけようとする試みがなされている。肥満モデルマウスでは、肥満に先行するかたちで、リン脂質グループの質的・量的バランスの変動がみられ、特定の脂質分子種グループの代謝変動が肥満病態への移行に関与していることが示されている。本研究の目的は、質量分析計を用いて脂質メタボロームを包括的に解析し、①睡眠の質・睡眠時間と脂質代謝との関連、②喫煙の脂質代謝への影響を検討することである。本研究では、①健常成人を対象に、通常の睡眠時間と短時間睡眠時の脂質プロファイルを検討した、②非喫煙者と喫煙者および喫煙前後での脂質プロファイルを検討した。睡眠との関連では、睡眠時間を4時間未満にした短時間睡眠時と通常の睡眠時間(8時間以上)のときの、脂質メタボロームを比較し、リン脂質グループの分子種の検出率が異なることを明らかにした。喫煙との関連においても、喫煙前後の脂質分子種を包括解析することにより、脂質分子種により検出量が異なることを見出した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Psychiatry Clin Neurosci
巻: 71 ページ: 44-51
10.1111/pcn.12464
J Clin Ultrasound
巻: 44 ページ: 555-560
10.1002/jcu.22376