本研究の目的は、主としてオーラルヒストリーによって(また補助的に、アーカイブと地方文書を用いて)1950年代中国における政治教育の実態を、解明することにある。また同時にオーラルヒストリーを使用する現代史研究の理論化を目指した。本研究の実施により、おおまかにいって、以下の3点が解明された。(1)当時の学校教育の細かい事情(教室内の雰囲気、学生間の人間関係の形成のされ方など)、(2)中国共産党の実施した政治教育が、基層社会まで浸透していたこと、(3)学校内の政治的環境が1950年代半ばを境に変化していくこと。
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