研究課題/領域番号 |
25870871
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
久米 祐介 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40645173)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 同族目的語 / 再分析 / 通時的変化 / 軽動詞 / 文法化 |
研究実績の概要 |
本年度は最終年度に予定していた同族目的語の共時的通時的研究を繰り上げて行った。近代英語研究に投稿した論文では、藤田・松本(2005)と中島・池内(2005)の分析の経験的理論的問題点を指摘したうえで、同族目的語構文には結果と様態の2種類があり、同族目的語のステータスに違いがあると主張した。藤田・松本は同族目的語を選択する動詞は全て非能格動詞であり、同族目的語はVの補部に生起すると主張している。しかし、dieなどの非対格動詞も同族目的語を選択するなど言語事実を正確に記述できていない。中島・池内は非対格動詞も同族目的語を選択し、その際には動詞の付加詞として現れると主張しているが、全ての同族目的語は動詞から与格が付与されると仮定しているため、理論的な問題が生じる。本研究では、古英語から近代英語までの同族目的語のデータを収集・分析した。結果の同族目的語は古英語から現代英語まで、対格が付与されており、作成動詞による産出物と同じ振る舞いを示すことを観察した。一方、様態の同族目的語は古英語から中英語までは与格語尾を伴って現れており、屈折の水平化によって近代英語以降では結果の同族目的語と形態的区別を示さなくなった。これにより、様態の同族目的語はVから道具の意味役割と同時に与格を付与されることによって様態の解釈を得ていたが、与格付与の消失により、動詞に付加する構造へと再分析され、構造的に与格の解釈を得るように変化した。通時的にデータを分析することによって、中島・池内の付加詞分析を支持し、理論的な修正を試みたが、様態の同族目的語の認可については次年度の課題として残すことになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軽動詞よりも先に同族目的語を扱うことによって、同族目的語構文で仮定した統語構造を軽動詞構文に適用させることによって経験的理論的説明が可能になると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
本年度で明らかにした同族目的語構文の統語構造をさらに発展させる。具体的には、様態の同族目的語のステータスを理論的に説明できるように、den Dikken (2006)で提案されたRelatorを主要部とするRP構造を採用し、様態の同族目的語は叙述名詞であると仮定する。さらにhaveの軽動詞構文に拡張し、makeの軽動詞構文との振る舞いの違いを理論的に説明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は国際学会に参加できなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会への参加旅費に当てる
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